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生成AIが戦略立案を後押しできる領域はどこか
生成AI──チャットGPTやユードットコム(you.com)、クロード(Claude.ai)など──がビジネスの意思決定に革命をもたらす可能性に、ビジネス界が大いに沸き立っている。オープンAIのCEOを務めるサム・アルトマンは、「人間の可能性をめぐる最高の黄金時代が始まりつつある」とまで宣言している。
ビジネスリーダーにとって、戦略の立案に生成AIを活用するというアイデアはたまらなく魅力的だ。あるマネジャーは先頃、「まだ存在しないチャンスの発見をAIが助けてくれる」ようになるのが待ちきれない、と声を強めて言った。
しかし、私たちが生成AIの能力を過大評価している可能性はないのだろうか。生成AIが戦略立案を後押しできる領域がもしあるとすれば、それをどう見つければよいのか。すべての生成AIツールは同じなのか、あるいは一部のツールは特定の状況でより高い能力を発揮するのだろうか。
これらの疑問に答えるために、本稿では戦略立案の中核を成す2つの取り組みに関する事例を詳述する(注:名前は変更されている)。
盲点を克服し、将来を予測する
キースは、従業員120人を抱え農業研究を手掛ける営利組織、トライデントのCEOである。同社はこの分野における独立系事業者の中では最大手であり、顧客は穀物、野菜、果物の栽培を改善するための試験を同社に依頼する。
キースは年に一度の戦略リトリートに5人の幹部チームを招集した。「この場は、腰を落ち着けて物事を検討する機会になります。ふだん我々は、試験をして結果を報告することに追われ、絶え間なく動いているためです」と彼は説明した。
戦略立案のプロセスの中で、トライデントが直面している「重要な戦略的課題」をリストアップする工程があった。「これが検討のたたき台となります。我々の戦略計画は、これらの課題に対処するものでなければならないのです」とキースは説明した。以下がそのリストである。
・競争
・支店の数と立地
・人材
・製品の価格設定
・収益性
・気候