顧客フィードバック・ループを構築する

 シェリル・パスケルは、チャールズ・シュワブの支店長である。彼女の一日は毎朝、次のように始まる。

 机に着くなり、PCを立ち上げ、イントラネットにアクセスし、最新の顧客フィードバック・リポートのファイルを開く。これは、チャールズ・シュワブが顧客たちに毎日eメールで送っている調査をまとめたもので、シェリルのチームが担当しているクライアントからの意見も含まれている。

 リポートをスクロールしながら、シェリルは、部下の金融コンサルタント6人が前日の取引をうまくまとめられたかどうかを見る。顧客がつけた得点を質問ごとに確認し、高得点と低得点の顧客のコメントを読み、顧客から評価された対応、逆に不愉快にさせた対応があったかどうかをチェックする。

 リポートをあちこちクリックしていると、シェリルは、支店の情報端末が使いづらいと不満を訴えている顧客が何人かいることに気づいた。この件について、毎週の定例会議で部下たちの意見を聞くことにする。

 一部の記入用紙の書き方がよくわからないという声もある。シェリルは、月末の支店長会議で、他の支店長にこの件について聞いてみることにする。次に、どうすればクライアントとの信頼関係を深められるか、新人営業マンにアドバイスしようと、一対一で話し合える機会を探す。

「管理職各位は要注意(マネジャー・アラート)」の印に目が留まった。取引履歴が口座に記載されるのが遅れたという理由で、ある顧客がシュワブに厳しい評価を下したというのである。この顧客は、この件について電話がほしいということなので、シェリルはその日のうちに彼に電話するよう、メモに書き留める。