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製品中心のマインドセットに依存する企業が、いまだに大半を占めている
「あなたの会社は顧客中心の戦略を取っていますか」とCEOに尋ねると、たいていは「いままさにその課題に取り組んでいる」という答えが返ってくるだろう。「顧客中心の戦略が完璧に機能している」、あるいは「重大なトラブルに直面している」と答えるCEOはまずいない。
筆者らは近著Triple Fit Strategy(未訳)の中で、過去25年間にわたる顧客中心への変革プロジェクト1000件以上のデータを分析した。
その結果、顧客中心の戦略を持つCEOや販売チームはわずか15%にすぎないことが判明した。大半の企業は、自社の経営や顧客との関係を、製品中心のマインドセットに基づいて運営している。顧客とともに成長を実現するというよりも、自社製品の販売市場を見つけることに重点を置いた考え方である。
本稿では、顧客中心の組織を構築する際にビジネスリーダーが直面する3つの罠に焦点を当て、多大な損失につながりかねない失敗を回避するための3つの質問を提案する。
顧客中心主義の定義
筆者らは、顧客中心主義を「すべての企業活動を、ターゲットとする顧客の成功に合わせて調整し、それを利益につなげること」と定義している。したがって、顧客中心主義を取る企業は常に顧客との対話を続け、その対話から戦略的な洞察を見出し、それに基づく行動によって変化に対応し、ビジネス手法を変革することが求められる。
顧客中心主義においては、売り手と買い手が協力し、サプライヤーと顧客の双方にとって利益となる共同開発のソリューションを提供する必要がある。戦略の方向性を決める際には、競合他社や市場だけでなく、顧客にも目を向けることが重要だ。
3つの罠
組織の方向性が顧客の求めるものと合致していないと、社内で取り組みを進めたり、全体的な戦略を実行に移そうとしたりしても、さほど進展せず、長続きすることもない。収益源が枯渇したり、成長サイクルに乗れなかったりすれば、製品中心で内向きの努力はすべて、時間とリソースの無駄となってしまう。
そうした事態を回避するためには、次の3つの罠に陥らないよう注意する必要がある。野心の罠、提供の罠、そして多忙の罠である。