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レイオフによる幅広い影響
今日の風潮として、大規模なレイオフが頻繁にニュースで報道されている。現在、最も大きな打撃を受けている業界はテクノロジー業界であり、マイクロソフト、インテュイット、デルなどの大手を含め、2024年にはこれまでに10万以上の職が削減されている。これら知名度の高い企業が大規模な人員削減を行っているため、他社も経営難の解決策として人員削減を検討するのは当然の成り行きである。
レイオフは、機敏で無駄のない、迅速な業務運営への近道のように思えるかもしれないが、進める際には注意が必要だ。財務上の短期的な利益、さらには、コストの適正化による、不確実な経済情勢下での企業の経済的安定性の維持も期待できる一方で、筆者が所属する企業での調査結果は、レイオフが従業員のエンゲージメント、士気、そして忠誠心にいかに大きな影響を及ぼし、そのマイナス影響がいかに尾を引くかを示している。
調査
企業のレイオフが従業員エンゲージメントに及ぼす影響を理解するために、2020年3月から2022年11月の間にレイオフを実施した146社を調査した。これらの企業でレイオフの前後に実施された従業員エンゲージメント調査から、従業員体験の時間的変化を確認した。また、テック業界のレイオフ情報を提供するlayoffs.fyiのデータもデータ補完のために追加した。以下が調査からわかったことである。
レイオフ後、従業員体験の主要項目の多くが大幅に低下している
「企業(業績)に対する期待」は16.9ポイント低下し、「キャリア機会に対する確信」は12.1ポイント低下した。そして「リーダーシップに対する信頼」は10.5ポイント低下した。
2024年さらに調査を行い、2023年にレイオフを実施した企業で、これらのパターンが過去の調査結果と一致するかどうかを確認したところ、レイオフが従業員エンゲージメントにさらに大きな影響を与えていることがわかった。平均すると、2020年から2022年のレイオフ調査期間よりも2ポイント以上の落差があった。
レイオフ前の従業員エンゲージメントが高くても、レイオフのマイナス影響を免れることはない
むしろ、当初の従業員エンゲージメントが高いほど、レイオフ後に急落する可能性が高く、従業員がその企業で働き続ける意思(コミットメント)が低下する。最も大幅な低下が見られたのは、レイオフ前に上位10%に入っていた企業であった。しかし、もともと従業員のエンゲージメントやコミットメントが低かった企業では、レイオフが企業の構造的、体制的な問題に対処するものと受け止められ、逆にコミットメントが向上する場合もある。