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職場で不安を感じやすくなっている
想像してほしい。あなたはオフィスに到着し、仕事の流れに乗ってタスクをこなしている。突然、上司からのメールが飛び込んできて、最近提出したクライアントの提案書にミスがあったと告げられる。チームは競合他社に顧客を奪われた。上司はあなたの時間を1時間も使って、そのミスと、あなたが関わる他の2つの重要なプロジェクトについて話している。さらに、午後の会議でのプレゼンで頼りにしていたチームメンバーが、病欠の連絡をしてきた。あなたは準備もしていないプレゼンをしなければならなくなった。手に汗を握り、心臓がドキドキし、パニックに襲われる──。
仕事におけるある程度のストレスや不安は一般的なものだ。ある調査によると、米国の労働者の80%以上が職場でのストレスを経験したことがある。英国安全衛生庁の最近の報告書によると、同国では2020~2021年に、職場でのストレス、不安、鬱を患う人が推定で80万人を超えた。職場で不安を感じやすくなっているのは、あなただけではないのだ。
なぜこのようなことが起こるのか。そしてその時々の不安にどう対処すればよいのだろう。
ストレスや不安を感じると何が起きるのか
不安やストレスに直面すると、脳の扁桃体(危険を察知して感情を処理する部分)が自動的に視床下部(多くの身体機能をコントロールする部分)に信号を送り、ストレス反応の準備をするカスケードが引き起こされる。このカスケードは「闘争・逃走・凍結」反応を活性化し、神経系を興奮させる。
重要な情報に優先順位をつけて統合する脳のシステムであるサリエンスネットワーク(SN)が、感覚刺激にさらされ、目の前の問題と合わさって、圧倒される。サリエンスネットワークは管理可能な量の情報を提供する代わりに、扁桃体に過負荷をかけ、一連の生理的変化を引き起こす。そのため、こうした時には、認知障害、心拍数の増加や動悸、騒音や光、臭いなどの環境要因に対する意識の高まり、歯の食いしばり、頭痛、腹部の膨張感、ガス、消化不良が起きたり、一カ所に座っていられなくなったりする。
職場の不安と不安障害の違い
職場の不安と、不安障害による不安の違いを知ることは重要だ。一般的な不安障害ではなく、職場の不安を示す徴候が以下である。
・主に仕事のタスク、同僚、課題、期限などに関連した恐怖や不安の感覚が一貫して持続している。
・週末や休暇中に不安症状が著しく減少または消失する。
・特に仕事に関連したタスクにおいて、集中したり決断したりすることが困難。
・仕事の責務を先延ばしにしたり、回避したりする。
・仕事の成果や安定に対して過度に懸念する。
・主に職場で、または仕事について考えている時に、上記のような身体症状が起きる。