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イノベーションの新世界
20世紀の間、世界の注目は、イノベーションを量産するアメリカに集中していた。しかし、状況は変わりつつある。
現在、さまざまな国がイノベーションを国家の最優先課題に置いている。シンガポール、フィンランド、チリ、中国と、世界各国が、斬新なアプローチによってイノベーション戦略を計画している。
これらの国々は、教育や人材育成において将来を見据えた政策を打ち出し、大規模プロジェクトに資金を投じ、知識資本を我先と買いに走り、また知的インフラの整備にも余念がない。
このようなイノベーションの新世界は、企業にとって何を意味するのだろうか。また、経営者たちにどのような影響を及ぼすのだろうか。
いまやビジネス・リーダーたちは、戦略上のニーズを踏まえて、各国のイノベーション政策を比較検討できるようになった。そして、本稿で説明する各モデルを参考にすれば、イノベーション計画を立案するに当たり、その選択の幅を広げ、その質を深めることができるだろう。その国のイノベーション支援制度の核になっているモデルもあれば、国家戦略の一部になっているモデルもある。
さまざまな国と直接手を結び、活気あふれる環境に研究所やマーケティング拠点を置くことで、優秀な人材を集め、各種資源を調達し、さまざまな選択肢のなかから望むところのものを選ぶことができる。
たとえば、ヘルシンキやシンガポール、上海といったイノベーション拠点に、ハイテク企業を立ち上げれば、そこの人材、資本、R&Dへの税控除制度、規制緩和、各種専門施設を利用できるため、最初からグローバル企業として出発できる。