BCGで実施された「計画休暇」の実験

 コンサルタント、インベストメント・バンカー、会計士や弁護士、ITの専門家など、プロフェッショナル・サービスに従事している人たちは、どうしても「仕事第一」になりがちである。そして、グローバル市場で成功するには「自分も会社も常時臨戦態勢でなければならない」という職業倫理に縛られている。

 ここで、あるデータをご紹介したい。我々が2008年に実施したアンケート調査によれば、このようなプロフェッショナル1000人の94%が「週50時間以上働いている」と回答しており、その半数近くが週65時間を超えていた。

 ここには、社外で〈ブラックベリー〉をチェックしている20~25時間は含まれていない。しかも、同僚やクライアントからeメールが来れば、「1時間以内に必ず返信している」とも述べている。

 一方で、我々が過去4年間にわたってボストンコンサルティンググループ(BCG)の北米圏の事務所で実施した調査によれば、コンサルタントなどのプロフェッショナルが、最高水準のサービスを提供し、なおかつ仕事から完全に解放された休暇を計画的に取得することは十分可能であることが判明している。

 事実、全員が常時臨戦態勢でなければならないという前提を崩せば、各人が休暇を取得できるだけでなく、仕事の面でもメリットがあることが明らかになった。

 今回の調査では、計画休暇を奨励したことで、チーム・メンバーの間でよりオープンな対話が交わされることがわかった。このこと自体、貴重な成果といえる。このようにコミュニケーションが改善したことで、新しいプロセスがいくつも開発され、その結果、チームの能力が高まり、業務の効率や効果が向上した。

 我々は、BCGのコンサルタントたちに義務づけた休暇を、「計画休暇」(predictable time off)と名づけた。これは、仕事の波に応じて取得する通常の休暇と別に取得するものである。

 調査を始めるに当たり、各コンサルタントには、計画休暇を取得する時期を決め、この間、eメールやボイス・メールをいっさいチェックすることなく、仕事から完全に離れることを指示した。