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中小企業の立て直しは最優先事項である
ハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」は、さまざまな意味で人々にトラウマを残した。命、家屋、歴史、そして希望さえも失った人々がいる。中小企業のオーナーや従業員は、さらに生計手段も失いかねない状況にある。これは、アメリカンドリームを脅かされている人々だけでなく、すべての人に関わる問題である。
従業員が499人以下の中小企業(MSME: Micro-, small-, and medium-sized enterprises)は、米国労働者の約10人に6人を雇用し、米国のGDPのほぼ40%を担っている。そして、その多くは小規模なままではない。実際、最近では、時価総額100億ドル以上の公開企業のかなりの割合(17%)を、中小企業から大成長した企業が占めている。つまり、米国の中小企業は経済の循環システムの一部である。中小企業が機能不全に陥れば、経済全体に悪影響が及ぶのである。
フロリダ州に注目すると、2019年から2021年の間に中小企業の数は、11%という堅調なペースで増加しており、同期間における全米の中小企業の増加率6%を上回っている。しかし、マッキンゼー・アンド・カンパニーの分析によると、フロリダ州の中小企業のほぼ5分の3が、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)が10月16日にハリケーン「ミルトン」の災害宣言を発令した34の郡に集中している。その数は190万社、従業員総数400万人、年間収益は5000億ドル以上に上る。それらの企業が壊滅的な打撃を受けた場合、その影響は州全体、さらには南東部全体にまで及ぶ可能性がある。
ノースカロライナ州も同様である。ハリケーン「ヘリーン」が襲った同州の39の郡(FEMAが10月15日に発令した災害宣言による)を拠点とする中小企業は、州内の中小企業の45%を占め、100万人以上の労働者を雇用している。人口集中地域である重要な都市アッシュビルがあり、特に被害の大きかったバンコム郡の歳入は、州の歳入のほぼ5%を占めている。
地域経済、従業員、そして地域の社会機構の維持のためにも、中小企業の立て直しは最優先事項でなければならない。連邦政府、州政府、地方自治体はすでにこのことを考えている。そして多くの米国人がみずからの時間、資金、専門知識を被災企業のために提供している。コロナ禍の最中と同じように、今後数カ月間、個人が力を尽くして地元企業を支援することは間違いない。
しかし、企業には企業ならではの重要な役割がある。たとえば以下のようなことである。
得意分野で協力する
ビジネスリーダーが精通しているのは、災害救援ではなく、ビジネスである。そこで、つき合いの深い中小企業などの事業継続を支援するために、ビジネスとして何ができるかを考えてみよう。たとえば、中小企業の多くは大手企業のサプライチェーンに組み込まれており、事業継続には、資金、人材、リソースの面で支援が必要になる。
中小企業といっても、業種によってニーズは異なるが、大手の顧客やパートナーであるため、リーダーはそのニーズをよく理解している。その企業に合った適切かつ迅速な支援を提供できる立場にある。その目的は、政府による支援に取って代わることではなく、中小企業が一刻も早く立ち直れるよう支援することである。