チームの成長を促す「生産的失敗」をいかに組み込むか
Ana Maria Serrano/Getty Images
サマリー:失敗は避けるべきものと見なされがちだが、長期的な成長やイノベーションには不可欠だ。従業員が失敗を恐れてリスクを避けると、能力開発や革新的な解決策の機会を逃してしまう。そこで「生産的失敗」という手法が効... もっと見る果を発揮する。これは意図的に失敗を伴うタスクを組み込み、学習を目標とする科学的に裏づけられた方法である。タスクの設計、フィードバック、振り返りを通じて、チームの成長や柔軟性を高めることができる。 閉じる

失敗を避けると長期的な成長が阻害される

 失敗は避けるべきものと見なされがちだ。新人マネジャーが自分の有能さを証明しようと躍起になっていたり、以前からそう考える習慣を身につけている場合には、失敗回避の傾向が特に強い。

 だが、失敗は悪いことではない。むしろ、チームの長期的かつ持続可能な能力開発を促進するうえで役立つのだ。

 失敗を避けることで短期的な成果は確保できるかもしれないが、長期的な成長とイノベーションが阻害される。従業員があまりリスクを取らず、コンフォートゾーン(自分が安心できる領域)の中に留まっていると、自身の能力を伸ばしたり、革新的な解決法を試したりする機会を逸してしまう。

 初めてマネジャーを務める人は、自分の管轄チームにおける失敗の役割を考え直すとよいだろう。失敗が生じるのを待ち、そこから従業員が学ぶのを期待するのではなく、学習を明確な目標にして、チームのタスクに失敗を意図的に組み込むことができるのだ。

 これは「生産的失敗」として知られる科学的に検証済みの手法であり、従業員の学びと成長を後押しし、イノベーションを促進し、チームのレジリエンス(柔軟性、再起力)を高めることができる。

 ただし、目的は従業員を失敗に陥らせることではない。生産的失敗の手法を効果的に活用するには、障壁を組み込んだタスクのポートフォリオをバランスよく計画することが求められる。入念に設計されたタスクを従業員が完了した後は、フィードバックと振り返りのセッションを行い、学びについて話し合う必要がある。

 では、どこから始めればよいのか。

タスクのポートフォリオを設計する

 失敗のためのタスクを設計するカギは、パフォーマンス目標と学習目標の両方から成るバランスのよいポートフォリオを構築することにある。