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DEIへの逆風
DEIすなわちダイバーシティ(多様性)、エクイティ(平等)、インクルージョン(包摂性)の価値を支持する人たちが、2024年米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が勝利したことに懸念を抱くのは当然だろう。
トランプ前大統領の1期目の実績や、J. D. バンス次期副大統領の主張、そして初期の人事を見れば、第2次トランプ政権が、職場におけるDEIへの逆風をエスカレートさせるのは明らかだ。この極めて困難な環境で、リーダーが引き続き公正で包摂的な組織を構築するにはどうすればよいのか。
トランプ政権の2期目に予想されること
保守派はDEIの廃止を中核的なミッションに掲げてきた。そして、反DEI訴訟、反DEI立法、公の場での日常的なDEI攻撃といった戦術を取ってきた。したがって次期トランプ政権も、次のような多面的なDEI攻撃を仕掛ける可能性が高い。
反DEI大統領令
2020年9月、トランプ前大統領は、連邦政府の事業者が「社会を分断する」DEI研修を受けることを禁じる大統領令を発動した。この大統領令はジョー・バイデン大統領によって覆されたが、トランプ氏が次期大統領に就任したら、すぐにも「多様性、公平性、包摂性を促進するプログラムを廃止する」大統領令に署名する用意があるとされる。
正確に言うと、DEIの「促進」を禁じれば、合衆国憲法修正第1条(言論の自由)にあからさまに違反することになる。同じように、組織がDEIについて、従業員を訓練することを制限する一切の命令も、裁判で合憲性が争われるだろう。同様の州法が2024年初めに連邦地裁で違憲と判断されたことを考えると、法廷での異議申し立ては成功する可能性は高い。ただ、このような大統領令が大きな萎縮効果を持つことは間違いない。
プロジェクト2025におけるDEIアジェンダの実行
「プロジェクト2025」とは、トランプ前大統領の1期目に関わった顧問が多数参加するグループが作成した保守的な政策提言だ。トランプ氏自身は選挙期間中、「プロジェクト2025」から距離を置こうとした。だが、たとえそれが本心からだったとしても、法的・政治的保守運動はトランプ前大統領に、「プロジェクト2025」の反DEIアジェンダを実施するよう大きな圧力をかけるだろう。このアジェンダには、具体的には次のような項目が含まれる。
・連邦政府機関におけるDEI部門と職員配置の廃止
・連邦政府の事業者に平等な機会の確保を義務づける大統領令の撤回