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あらゆる分野にリーダーが求められている
「この国にはリーダーが必要です」。アメリカの歴史家、デイビッド・マカルーは言う。「政治のリーダーについて、申し上げているのではありません。あらゆる分野、組織、状況において、リーダーが必要なのです。また若者には、リーダーになるための教育が必要です。しかし残念ながら、そのような取り組みは、いまやはやりません」
ピュリッツァー賞に2度輝き、テレビ番組の司会者としても有名なマカルーは、アメリカのリーダーたちが果たした役割について、数十年にわたって研究を続けてきた。
『海と海をつなぐ道』など、彼の著作では、昔のアメリカが、丹念にして緻密、そして鮮やかに描き出される。読者たちは、すっかり様変わりしてしまった現在においても、建国者たちや最高のリーダーたちの葛藤、ビジョン、理想は、ひらめきの源泉であることに気づかされる。
彼の著作から伝わってくるのは、希望の光がまったく見えない時代にあっても、楽観主義、勤労、気概という昔ながらの堅実な価値観は変わらないという強い信念である。
本稿は、HBR誌のシニア・エディター、ブロンウィン・フライヤーによるマカルーへのインタビューを編集したものである。このインタビューのなかで、マカルーは過去や現在のリーダーたちの例を挙げながら「タイムレス・リーダーシップ」について語り、その本質を説明する。そのいずれも我々のよく知る不変の資質であり、それらを総合すると、模範的リーダーたちに共通する道徳観がはっきり見えてくる。
「歴史は我々に身の処し方を教える」
HBR(以下色文字):あなたは、歴史教育の必要性を熱心に訴えていますが、あなたが言うところの「歴史観」が、なぜリーダーにとってそれほど重要なのですか。
マカルー(以下略):それについては、ジョージ C. マーシャル元帥[注1]の言葉を引用したいと思います。彼は、バージニア軍事大学で受けた教育について聞かれ、「よい教育とはいえません。なぜなら、歴史教育がなかったからです」と答えています。
マーシャルは、リーダーを目指す人には歴史観が不可欠であることを知っていました。なぜなら、歴史を学ぶとは、人間について学ぶことであり、また原因と結果について学ぶことだからです。