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テイラー・スウィフトがスターであり続けている理由
2024年12月8日、カナダのバンクーバーで、テイラー・スウィフトの記録づくしのツアー「ジ・エラズ・ツアー」が終了した。その偉業は数字にも表れている。ツアーは5大陸で約150公演におよび、興行収入は20億ドルを超え、地域経済に100億ドル超の経済効果をもたらした。このツアーは、330公演を行ったエルトン・ジョンのツアー「フェアウェル・イエロー・ブリック・ロード」を上回り、史上最高の興行収入を記録した。
しかし、スウィフトの功績を単なるデータだけで捉えると、全体像を見逃してしまう。ジ・エラズ・ツアーで、彼女はポップスターの軌跡を再定義し、キャリア20年のアーティストにしては稀な、文化全体に浸透する存在感を示した。
筆者はこの2年間、著書There's Nothing Like This:The Strategic Genius of Taylor Swift(2025年刊行予定)に取り組んできた。この書籍では、スターがファッショントレンドのように移り変わる業界で、スウィフトがいかにして、それも何度も、人気を拡大させてきたのかを検証している。勝つためにプレーし続けるというスウィフトの並外れた能力について、ビジネスに焦点を当てた説明を見つけようとすればするほど、彼女のキャリアに対する興味が増していった。
筆者が出した結論の一つは、スウィフトがスーパースターであり続けている要因が、彼女のソングライティングと、ファンとの親密で、時にパラソーシャルな関係(ファンが著名人に対して親しみを感じる一方的な関係)を通じて個人的なつながりを構築する能力にあるということだ。
これは、彼女独自の「顧客中心」のアプローチである。しかし、新鮮なコンテンツとファンとのエンゲージメントに対する絶え間ない需要に適応し、ストリーミング時代を巧みに捉えてきたことが、彼女の人気をかつてない高さまで押し上げた。
いまやスウィフトは、単なるスーパースターではない。メガスターだ。
継続的なファンとのつながりのためにプラットフォームを活用
パンデミックの最中にサプライズリリースした2020年のアルバム『フォークロア』と、2022年のジ・エラズ・ツアーの発表の間に、スウィフトはスタジオアルバム『エヴァーモア』と『ミッドナイツ』を2枚リリースし、同時に過去作品の一部を再レコーディングして発売した。