AMDを急成長させたCEOが語る「AIの未来」
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サマリー:米国『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌が開催したオンライン会議「変化を起こすリーダーたち」(Leaders Who Make a Difference)では、AMD会長兼CEOのリサ・スーが2024年のメイン登壇者としてAIの未来を語った... もっと見る。同氏はAIを活用しAMDを成長させたリーダーで、『タイム』誌のCEOオブ・ザ・イヤーにも選出されている。彼女は、講演の中で技術的な専門性と戦略的な経営能力を兼ね備えた新しいタイプのリーダー像を提示した。 閉じる

会社とチームに野心的な目標を与え、たえず進捗を確認する

『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)誌は毎年春、世界にプラスの影響を与える経営者や組織にスポットライトを当てたオンライン会議「変化を起こすリーダーたち」(Leaders Who Make a Difference)を開催している。2024年のメイン登壇者は、米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)会長兼CEOのリサ・スーだった。AMDはこの10年でAIを活用した高性能コンピューティング(HPC)とアダプティブコンピューティングのリーディングカンパニーとなった。現在AMDは、世界最速で成長する半導体メーカーの一つであり、顧客はスバルやテスラのような企業から、マイクロソフトやグーグルまで多岐にわたる。

 米『タイム』誌が選ぶ2024年のCEOオブ・ザ・イヤーにも輝いたスーだが、もとはエンジニアで、マサチューセッツ工科大学(MIT)で学士号、修士号、博士号を取得。技術畑の専門性と戦略的経営能力を兼ね備えた、テクノロジー業界の新しいタイプのリーダーの一人と見られている。責任あるリスクテイキングの提唱者でもあり、テクノロジー業界で最も有名な女性リーダーかもしれない。

 そんなスーに、HBR編集長のアディ・イグナティウスが2024年4月9日、AIの未来(機会、リスク、そしてその力を最大限に活かす方法)について話を聞いた。また、視聴者からの質問も受けつけた。以下では、その時の会話を紹介しよう。

──AMDとその歴史について教えてください。

 AMDは最先端の先進半導体、つまり最高のコンピューティングとアダプティブコンピューティングに注力している企業です。クラウドや大規模データセンターから、末端のデバイスまでさまざまな商品に利用されています。車両やテスト機器、航空宇宙向けなど産業用もあれば、ノートパソコンやデスクトップコンピュータ、ゲーム機などのエンドユーザー向けデバイスにも使われています。

──AIは新たな段階に入ろうとしていますが、あなたが一番ワクワクしていることは何ですか。

 AI自体はかなり前から存在しましたが、チャットGPTや生成AIの登場により、とんでもないパワーがあることが一般の人にもわかってきました。AIはこの50年間で最も重要なテクノロジーであり、人間のあらゆる側面を加速させるチャンスだと思います。また、ヘルスケアやビジネス、コンテンツ制作など、さまざまな領域を進歩させています。個人的には、疾病研究や診断、そして医師の患者への対応を一変させる可能性に一番ワクワクしています。

 AMDでは、AIを使って、チップの製造を加速しています。私たちにとって一番重要なのは、いかに高品質・高性能の半導体チップを低コスト・低価格で提供するかです。