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多くの従業員はメンタリングプログラムの存在を知らない
仕事への忠誠心がますます希薄になり、従業員がよりよい機会をすぐに求める時代において、優秀な人材を確保することは、ビジネスリーダーにとって大きな課題となっている。フォーチュン500の98%がメンタリングプログラムを導入しているにもかかわらず、その恩恵を受けているプロフェッショナルは37%にすぎない。このギャップがリテンションの問題を悪化させている。では、なぜメンタリングプログラムは役割を果たせていないのか。また、こうした取り組みによって効果的に優秀な人材を確保するために、組織は何をすればよいのだろう。
問題はメンタリングそのものにあるのではなく、多くのメンタリングプログラムが十分活用されておらず、アプローチが有効でないことにある。効果的なメンタリングが従業員のエンゲージメント、リテンション、生産性を高めるという研究結果は一貫して示されているが、現場ではそれが実現できていないことが多い。プログラムが一部の従業員に限定されている場合や、参加者を集めるために必要なコミュニケーションや認知度が不足している場合がある。その結果、多くの従業員がメンタリングの機会を知らなかったり、参加に興味を示さなかったりする。さらに、メンター候補が仕事に追われ、有意義なメンターシップにコミットできず、メンターシップへの参加率が低くなるというサイクルに陥っていることもある。
筆者の2人(ロパタとゴティアン)は、大企業と長年仕事をし、多くの従業員がメンタリングプログラムの存在やその利用方法、あるいは自分がそれを利用する資格を有しているかどうかさえ知らなかった。多くの従業員は、キャリアの次のステージに進むための指導を受ける機会があれば喜んで受け入れただろうが、そうしたサポートがあることを知らなかっただけなのだ。また、頼まれれば喜んでメンターを引き受けるつもりだったにもかかわらず、依頼されなかった従業員もいる。
これらは、比較的簡単に解決できる単純な障害だ。
コミュニケーションを個人の好みに合わせる
メンタリングプログラムへの参加を高めるには、組織はコミュニケーション戦略を見直す必要がある。画一的でトップダウンのアプローチは、特に個人的な交流を切望する今日の従業員には効果がない。従業員は、単なる指示の受け手ではなく、そのプロセスの大切な参加者であると感じたいのだ。
今日の従業員は、自分を職場体験の消費者と見なし、みずから選択する力を求めている。コロンビア大学教授のエリー・ドラゴ・セバーソンが提唱する、異なる認識方法についてのフレームワークなどを参考にすることで、組織は従業員のモチベーションやコミュニケーションのニーズが多様であることを理解することができる。組織は、メンタリングプログラムの有効性をどのように組み立て、従業員がメンタリングプログラムに参加する理由を増やすかを考えなくてはならない。メンタリングプログラムには、以下の要素が含まれるべきだ。
・現実的なメリットの強調:多くの従業員は、メンタリングが自分の当面のキャリア目標にどう役立つかに注目している。スキル開発やキャリアアップなど、参加することで得られる具体的で目に見えるメリットを強調すべきだ。
・組織の価値観との一致:企業文化との整合性や妥当性を求める人には、メンタリングが組織の価値観や長期目標にどのように合致しているかを強調すると、モチベーションを高めることができる。