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優秀な人材がドットコムに流れる
今日において、あらゆる企業が「何とか優秀な人材を獲得したい」と競っている。プロフェッショナル企業のパートナー(一般事業会社における兼任取締役とほぼ同義)たちも安穏としてはいられない。
もはや「適者生存の法則」にただ任せていたのでは、上昇志向の強いコンサルタントやインベストメント・バンカー、会計士補たちをしかるべく選別することは難しい。パートナー志望者たちの複雑な心理的変化を理解し、道標を示す必要がある。
経営コンサルタント、インベストメント・バンカー、会計士といった知的プロフェッショナルたちは、その道を歩む限り、だれしもがいずれはパートナーへの昇進にチャレンジすることになる。
ただし一部の人は、スタッフとパートナーの間に横たわる溝を楽々と飛び越えてしまう。クライアントの心をつかみ、満足を提供し続ける技術、自信を持ってリーダーシップを発揮するコツなどを心得ているのだ。
しかし、大多数のスタッフにとって、パートナーへの道のりは挫折と混乱に満ちたものであり、たとえ念願が叶ったにしても、その時には心身ともに疲れ果てていることだろう。一方、志半ばにして潰えてしまった人々は、結局、失意のうちに会社を去っていく。
プロフェッショナル企業のパートナーたちは何年もの間、「だれがパートナーの階段を登ってくるのか」など、自ずと決まるものだと考えてきた。まさに適者生存の法則が働くのだと。そして、自分たちも溝を飛び越え、飛躍を果たしてきたし、それができないのは、要するに向いていないということだろうと。
しかし、多くの企業がこのような考え方を改めるに至っている。好調なアメリカ経済の下では、優秀な人材の争奪戦が繰り広げられているからだ。
資質にあふれるMBA(経営学修士)たちは、以前であればパートナーに選ばれる日を夢見て、10年間もの辛い下積みに耐えていた。ところがここ数年、このような心意気を持った人材をつなぎ止めておくのは言うに及ばず、探し出すことすら難しい。みな一様に、流行りのドットコム企業に吸い寄せられていくからだ。
かくして、かの名門マッキンゼー・アンド・カンパニーやゴールドマン・サックスですら、求職者たちのなかから人材を探すようになった。要するに、適者生存の法則に頼っていたのでは、もはやパートナー候補を選別できないということである。



