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人間ならではの価値はどこに残っているのか
2022年にチャットGPTが公開されて以来、生成AIは仕事の進め方を変革すると期待されてきた。活用事例は多種多様で、個人、チーム、組織としてどのような使い方が最適なのか、いまだ模索している。意外なことに、現場や工場のブルーカラーの仕事よりも、オフィスのホワイトカラーの仕事のほうが、より差し迫って置き換えられそうである。
生成AIには、我々人間にはない特性がある。常に稼働し、ウェブ上の膨大な情報を参照する。瞬時にアウトプットを生成し、無限に拡張できる。
AIの新たな時代は、それを生み出した我々人間のような、限界を持ち、動きの遅い存在にとっては脅威に感じられるかもしれない。いまや、人間ならではの価値がどこに残っているのか、より慎重に見極める必要がある。
特定の分野で人間を上回るAIの能力
シリコン生まれの知能は、過去数十年の間に格段に向上した。大規模言語モデル(LLM)や生成AIが登場するずっと以前から、AIは多くの分野で人類を凌駕してきた。
・チェッカー(1994年)
・チェス(1996年)
・実用レベルの言語翻訳(2006年)
・手書き認識(2014年)
・読解(2017年)
・会話応答(2023年)
・人間レベルの言語翻訳(2024年)
AIが次にどの領域を席巻するのかはわからないが、完全無人運転(自動運転レベル5)、手術、ベストセラー本の執筆、AIシステムそのものの開発、そして究極の目標とされる汎用人工知能(AGI)が候補に挙がっている。AGIは、AIが多様な認知タスクにおいて人間レベルの能力を持つことを指し、シェーン・レッグによって広められた。メディアや投資家の関心が高まっていることから見ても、AIの進歩は何らかの形で続いていくことは明らかだ。
では、AIにとって当面困難なことは何だろうか。人間が持ち続け、守るべき独自の強みとは何だろうか。
人間がAIに対して依然として優位性を持つ分野
この数年間、何百人もの専門家、消費者、AI懐疑論者と話す中で、人間の優位性として、4つの分野が繰り返し挙げられた。