時間に追われる「急ぎ病」を克服する8つの方法
Tara Moore/Getty Images
サマリー:仕事と私生活の境界がますます曖昧になる中、「急ぎ病」はこれまで以上に生産性や人間関係、健康を静かに蝕んでいる。この症状は、いら立ち、慢性的な焦り、常に時間に追われている感覚といった行動や感情によって特... もっと見る徴づけられる。重要なのは、どれだけ急ぐかではなく、与えられた時間をどのように活用するかである。 閉じる

常に何かに追われていないか

 今日の目まぐるしい世界では、より多くのことを達成し、より短い時間でより多くを成し遂げるというプレッシャーが現代生活に蔓延している。そして、働く人々は疲れ果てている。

 専門サービス会社を対象としたある調査では、回答者の大半が自分の仕事を「非常に要求が厳しく、疲労困憊させられ、混沌としている」と説明し、一方で「長時間労働は自分の仕事にとって成功の必須条件である」ことを当然と考えていた。この調査の結論は、5万6000人以上の従業員を対象に最近行われたグローバルな労働力調査の結果と一致する。この調査では45%の人が過去12カ月で仕事量が大幅に増えたと回答しており、半数以上が職場の変化があまりに多く、あまりに速いと感じている。

 この容赦ない切迫感は、「急ぎ病」(hurry sickness)と呼ばれる現象を引き起こし得る。この言葉は1974年に2人の心臓専門医、メイヤー・フリードマンとR. H. ローゼンマンが、タイプA(高い目標を達成する人)の行動が心臓血管の健康に及ぼす有害な影響を説明する際に使ったのが始まりである。

 急ぎ病は診断可能な病気ではないが、いら立ち、慢性的な焦り、常に時間に追われている感覚など、一連の行動や感情を含むもので、心と体のウェルビーイングに悪影響を及ぼしかねない。

 急ぎ病の根本的な原因──常に仕事を最優先させて全力投球するハッスルカルチャー、働きすぎを促すインセンティブ、絶え間ない組織変更など──の多くについて、雇用者が対処する責任を負うべきだが、理想的とまではいかなくても状況を軽減するために自分でできることもある。本稿では、急ぎ病がもたらす深刻な影響を検証し、時間と心の平穏を取り戻すための戦略を説明しよう。

急ぎ病はなぜ危険なのか

 慌ただしくて常にオン状態というライフスタイルや、いつも時間が足りないという感覚から生じる不安や慢性的なストレスは、高血圧、頭痛、不眠などを招く。高血圧や、不安や鬱の症状(一般に精神的苦痛と呼ばれるもの)は、心臓疾患のリスクの原因となり、さらには死亡する可能性を高めると考えられている。