自分とチームの創造力を高める8つのエクササイズ
Diamond Dogs/Getty Images
サマリー:生成AIの活用が進む中、人間の成功のカギはルーチンワークをテクノロジーに任せ、クリエイティビティを発揮することにある。しかし、多くの人がクリエイティビティを発揮できていない。本稿では、チームのクリエイテ... もっと見るィビティを活性化するための準備や、変革を促す具体的なプロンプト、リフレッシュの方法などを紹介する。そして、成功事例を交えながら、実践的な8つのエクササイズを提示し、個人やチームが創造力を高めるためのヒントを提供する。 閉じる

どうすればクリエイティビティを発揮できるか

 生成AIがビジネスにおいて広く使われるようになる中、人間である私たちの成功のカギは、ルーチンワークをテクノロジーに任せ、よりクリエイティブな仕事に邁進することにある。それは若手の従業員でも、上級幹部でも同じだ。営業やマーケティングの戦略を再考することも、社内プロセスを改善することも、新たな収入源を創出することも、キャリアや組織においてみずからがイノベーションと成長の推進者になるチャンスとなる。

 実際のところ、2024年にキャンバとハーバード・ビジネス・レビュー・アナリティック・サービスが共同で実施した調査では、回答者の91%がクリエイティブな思考を現役のプロフェッショナルの重要な特質と考え、96%がクリエイティブなアイデアは企業の長期的な業績と成功に不可欠であるという考えに同意している。それにもかかわらず、多くの人々は潜在的なクリエイティビティをなかなか発揮できずに悪戦苦闘している。

 どうすれば、あなたやチームのクリエイティビティを活性化できるだろうか。筆者らは数十年にわたってメディアや広告代理店を率いて、クライアントに数々の助言を提供してきた。本稿では、その経験に基づいて、フレッシュな思考を刺激するために役立ついくつかのガイドラインとプロンプト(動作をするように促すもの)を紹介したい。

準備する

 クリエイティビティを発揮するには、適度な心の余裕が必要となる。最高のアイデアがシャワー中に浮かぶのには理由がある。シャワーを浴びるのは、たいてい睡眠や運動で頭がすっきりした後で、少なくともお湯が全身に降りそそぐ数分間は、日々の仕事や生活の雑念から解放されるからだ。

 したがって、以下で紹介するエクササイズに取りかかる前に、自分を整えることが大切になる。時間を確保し、集中力を高める呼吸のエクササイズをして、みずからの思考と感情、そしてパートナーのクリエイティブな思考と感情をオープンな心で受け入れる準備をしよう。どうしても繰り返し続けるプロセスとなり、わずらわしいかもしれないが、最終目的は成長を促す斬新なアイデアを生み出すことだという点を忘れないようにしたい。

 一人で行う仕事でも同僚との共同作業でも、状況や前提について、以下のように自分に問い直すことは有益だ。「いま、どこにいるのか。どこを目指しているのか。クリエイティブに思考し行動するための適切なサポートやシステムがあるか。どの程度、深く、長く取り組むことができるか。このプロセスで、どの程度の不快感なら耐えられるか」

 この準備作業を終えたら、クリエイティビティを刺激する4つのタイプのプロンプト(各タイプは2つのエクササイズで1セット)を試してみよう。第1のタイプはマンネリ化の中で変化を促すこと、第2のタイプは休止期間の後でチームを育成すること、第3のタイプは成功後のリニューアルとリフレッシュ、第4のタイプは必要と感じた時に変革を試みることを目的としている。

変革の火を点ける

 あなたの懸念はライバルに後れを取ること、顧客の反応が鈍いこと、あるいは過去の変革の取り組みがうまく進まないまま終わったことかもしれない。個人やチームがマンネリに陥って改革を求めている時、よくお勧めするのが次の2つのエクササイズだ。

振れ幅を大きくしてみる

 ある問題や困難について、最も極端な解決策を考えてみよう。もしあなたに影響力や時間、予算が無限にあったら何をするだろうか。たとえば、ロンドン五輪組織委員会が考案した開会式の型破りなアイデアを思い返してみよう。ジェームズ・ボンドがエリザベス女王をヘリコプターまでエスコートし、女王はヘリコプターからパラシュートで飛び降りて、スタジアムに登場するというものだ。後半の大技はスタントダブルが演じたとはいえ、女王と俳優ダニエル・クレイグは果敢にもこの動画撮影を承諾し、忘れがたい開会式を実現させた。これは既成概念に囚われずに考える人がいたからこそ、可能になったのだ。

革命を起こす

 あなたの仕事や提供する商品・サービスに関する、明文化されたルールと暗黙のルールをすべて議論してみよう。その経験則や一般通念を書き出し、一つひとつについて、どのようにして逆らうことができるか、対極のことができるかを話し合う。