
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
プロフェッショナル・ハートブレイクの出現と対処法
仕事で失望やいら立ちを感じる時もあるだろうが、大半は表面的なものだ。たとえば、チームが締め切りを守れなかったり、望みは薄かったとはいえ昇進を逃したりしても、あなたの世界が根底から揺さぶられるわけではない。どうにか解決策や次のステップを見つけるものだ。
一方で、すべてが変わってしまい、あなたのキャリアにおいて深く意味のある何かを失う時もある。リンクトインのポッドキャスト番組The Anxious Achiever(心配性の成功者)のホストを務めるモラ・アーロンズ=ミリがある投稿で例を挙げているように、「自分でビジネスを営むといった夢が完全についえる時、レイオフや失業で自分のアイデンティティが奪われるように感じる時、心から本当に望んでいるものが手に入らない時」にそのような経験をする。
この「プロフェッショナル・ハートブレイク」(仕事上の喪失と心の傷)は、どのように現れるのか、私たちはそれにどのように対処できるのか、もっと知りたいと思い、アーロンズ=ミリとドキュメントの共有とメールで話をした。以下は私たちのやり取りを編集したものだ。
HBR(以下太字):「プロフェッショナル・ハートブレイク」とは何ですか。
アーロンズ=ミリ(以下略):仕事に関連する喪失をめぐり、個人的な喪失や悲嘆と同じくらい、心に深い傷を負うことです。自分の価値観を根本から揺るがすような出来事が起こり、道徳的に傷ついたと感じる。自分の事業や長く勤めた会社など、自分が長年かけて築き、愛してきた職業上のアイデンティティを失う。信頼していた同僚や上司、クライアントからの裏切りもあるでしょう。
状況にかかわらず、プロフェッショナル・ハートブレイクはさまざまな深い感情を引き起こします。
この考えが私の頭の中で具体的になったのは、数年前の夏でした。『ニューヨーク・タイムズ』紙で、私のお気に入りのライターであるタフィー・ブロデッサー=アクナーがテイラー・スウィフトの「My Tears Ricochet」について書いた記事を読みました。「ラブソングを装っているが、実はまったく違う破壊的な打撃について歌っている」と。この曲は、表向きは死んだ元恋人を悼むほろ苦い気持ちを歌っていますが、スウィフティー(スウィフトの熱狂的なファン)は本当の意味を知っています──まさにプロフェッショナル・ハートブレイクなのです。
スウィフトのマスター音源は長い間、彼女が父親のように慕っていたメンターであり、信頼していた男性が所有していました。その男性は彼女に内緒で、非倫理的だと彼女が見なしている業界関係者にマスター音源を売却しました。彼女は買い戻そうとしましたが、うまくいかず、自分が創造した芸術作品の所有権を取り戻すために、初期のアルバムを1枚ずつ再録音し始めました。スウィフトは自分の曲が盗まれたと感じ、その思いを乗り越えられずにいました。
ブロデッサー=アクナーはこの曲のおかげで、自分が心を痛めていたプロフェッショナル・ハートブレイクを理解することができました。彼女は自分が大好きな仕事で、給料が男性の同僚の3分の1だったことを知ったのです。
「私は彼らに愛されていたけれど、私も彼らを愛していました」と、彼女は『ニューヨーク・タイムズ』紙のポッドキャスト「The Daily」で語っています。「私は彼らを非常に愛していました。そして、この曲を聴くと涙があふれて……私はひどく裏切られたのです。それは私が自分について考えていたことに対する裏切りでもありました」