
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
サステナビリティ認証ラベルがついた商品は売れるのか
サステナブルな商品の需要が高まるにつれ、商品にサステナブルであることを示す認証ラベルをつけるメーカーや小売業者が増えている。アマゾン・ドットコムの「クライメイト・プレッジ・フレンドリー」や、ターゲットの「ターゲット・ゼロ」、ウェイフェアの「ショップ・サステナブリー」といったラベルは、消費者が購入しようとしている商品が環境に与える影響を「見える化」する試みだ。しかし、それは実際の売上げにつながるのか。
これは企業にとって極めて重要な問いだ。こうしたサステナビリティラベルを取得するにもコストがかかる。認証を取得するために必要となるサステナブルな取り組みに投資をすれば、価格上昇につながる可能性もある。表面的には環境意識の高い顧客でも、このような上乗せ価格を進んで負担しようとはしないかもしれない。
そこでまず、サステナビリティラベルを商品に付与することによる金銭的な負担を定量化するため、筆者らはアマゾンから10カ月超分のデータを取得し、分析する包括的な調査を実施した。アマゾンで販売されている数百品目について、「クライメート・プレッジ・フレンドリー」ラベル(アマゾンのサードパーティ認証機関から取得できる)のある商品とない商品の売上データを比較した。このラベルは、認証商品の商品名の下に表示され、ラベルをクリックすると認証の詳細が見られるようになっている。
データが示していること
これらのデータを使って、サステナビリティラベルのついた1350品目と、これに相当するラベルのない1万6264品目の売上ランキングを比較した。全体的な売上げを正確に把握するため、スポンサー広告や価格プロモーションなどのマーケティング関連コストの調整をほどこした。また、サステナビリティラベルの影響のみを測定するため、売上げに影響を与える可能性がある他の商品属性(ベースライン販売実績、価格プロモーション、オーガニック検索ランキング、広告活動など)も調整した。
その結果、サステナビリティラベルを付与すると、対象商品の需要は8週間で約13%上昇することがわかった。これは商品カテゴリーに関係なく生じており、価格戦略の変更(基本価格の変更やクーポン、割引など)や、広告活動(新しいスポンサーリスティングなど)によるものでもなかった。
さらに、サードパーティ認証機関から提供を受けたデータを使って、同じ分析を実施した。ラベルのついた2602品目と、ラベルのない1万7809品目を比べた結果、サステナビリティラベルをつけると、対象商品の需要は8週間で約14%上昇した。より低価格の商品や視認性の低い商品、または検索広告に投資するメーカーが少なく、競争が激しくない商品カテゴリほど、サステナビリティラベルを追加することによる需要押し上げ効果が高いことがわかった。
なぜラベルが有効なのか
では、こうした調査結果は何を意味するのか。大まかにいえば、どちらの分析でも、サステナビリティラベルが需要を刺激することを示している。それはなぜなのか。筆者らは、いくつかの仮説を立てて検討してみた。