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人脈はキャリアにどのような影響を与えるのか
従来の常識では、仕事を得るためには、何を知っているかではなく、誰を知っているかが重要だとされてきた。たしかに研究では、一流の人脈は仕事上の新たな扉を開き、人脈のない同僚よりも有能に見せてくれることがわかっている。偉大な人との距離が、能力の大きさを示唆するかのように認識されるのだ。
だが、新しい仕事を得た後、輝かしい人脈はどのような影響を与えるのか。筆者らは新しい研究で、それを探った。
2025年5月に応用心理学会誌(オンライン)に掲載された筆者らの研究論文は、業界の著名人とのつながりが、長期的なパフォーマンス評価や結果にどのような影響を与えるかを探った。とりわけ、従業員のパフォーマンスを示す客観的なデータが入手可能になった後はどうなるのだろうか。
そこで、NBA(全米バスケットボール協会)のヘッドコーチのキャリアを分析するとともに、現役のプロフェッショナル約500人を対象に実験を行った結果、人脈は仕事を得る助けになるだけでないことがわかった。有名人と仕事をした経験は、長い歳月が経った後も、その人のパフォーマンス評価に影響を与えるのだ。
有名人とのつながりは仕事ぶりへの期待を高める
まず、過去40年間のNBAヘッドコーチ179人のキャリアパスを調べた。多くの伝統的な企業がそうであるように、NBAのプロフェッショナルにも明確な昇進ルートがあり、極めて重要な環境で出した成果がものをいう環境で仕事をしている。それゆえNBAは、キャリアや人材に関係する決定を研究する時、有用なコンテクストになる。
たとえば、フィル・ジャクソンのような伝説的なリーダーに仕えたことのあるヘッドコーチは、そのようなコネのないヘッドコーチと比べて、チームに期待される優れたパフォーマンスを示せなかった時、解雇される可能性は低かった。その一方で、チームが著しく優れた成績を上げた時、強力なコネのあるコーチは、そうでないコーチと比べて解雇されるリスクが高かった。つまり、有名人のコネがあると、チームの成績が悪かった時に責任を問われにくい一方で、チームの成績がよい時は、マイナスの影響を受ける可能性がある。こうした影響は、スターとの仕事の関係が終了した後、最大9年間続いた。