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リーダー選出のツールとプロセスはなぜ重要か
企業の最高幹部クラスの採用は、その会社の存続を左右する可能性がある。人材関連のリスクは、会社の価値創造に関わるリスクに他ならないからだ。この点は、中堅企業で最も際立っている。中堅企業では、リーダーが会社に及ぼす影響がひときわ大きく、しかも企業幹部を支えるマネジメント階層が薄く、テーマごとの専門家集団も社内に存在しない場合が多いためだ。
中堅企業やそうした企業に投資する中堅レベルの投資会社は、退職や株主の変更、業績の問題が原因でリーダーの交代が必要になった場合、極めて難しい状況に置かれる。最適な候補者を見つけ、採用するための社内のケイパビリティが十分でなく、社外の支援も得にくいケースが多いのだ。
これは、けっして小さな問題ではない。この問題がとりわけ深刻なのはプライベートエクイティ投資会社だ。投資先企業のCEOが交代することが珍しくないからである。中堅企業のおよそ3分の1は、プライベートエクイティ投資会社に所有されており、現時点で創業者が所有している企業の場合も、少なくとも将来いずれかの段階でプライベートエクイティ投資会社に所有される可能性が高い。そして、プライベートエクイティ投資会社に買収された企業の58%は、その後2年以内にCEOが交代している。
これほどCEOの交代が頻繁であることを考えると、中堅レベルのプライベートエクイティ投資会社とその投資先企業は、自社にとって必要なリーダーを見出すためのツールとプロセスと専門知識を持っておかなければならない。
既存の選択肢が不十分な点
大手のプライベートエクイティ投資会社は、価値創造におけるリーダーの重要性をよく理解しており、人事関連の専門企業を活用するケースも増えている。そうした人事関連企業に、傘下の企業でのリーダー人材の採用、評価、幹部育成を委ねているのだ。特に傑出した企業は、成功を収めるために極めて充実したプロセスを確立している。
しかし、中堅レベルのプライベートエクイティ投資会社(売上高1000万ドル~10億ドルの企業を買収することに注力する)の場合、人事関連企業の活用ははるかに少ない。このタイプの投資会社はたいてい、投資先企業の数が比較的少なく、埋めなくてはならないポストも比較的少ない。そのため、人事関連企業を活用することはコストの面でわりに合わないと判断されやすいのだ。
しかも、このようなプライベートエクイティ投資会社の投資先の中堅企業は往々にして、大企業に比べると、社内の人事チームが充実しておらず、スキルが不足している。要するに、人材の発見、評価、整備に関していえば、中堅企業のニーズは十分に満たされていないのである。