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大半のメッセージがゴミ箱行きとなっている
消費者は日々、数百、いやおそらく数千ものマーケティング・メッセージを送りつけられている。テレビCMから電話での勧誘、スーパーマーケットのチラシ、さらにはインターネットのバナー広告に至るまで、ありとあらゆる形態のメディアからメッセージが送られてくる。
これらが「刺激」となって、企業が望んだとおりの反応──割引クーポンを切り取る、ホームページへのリンクをクリックする、買い物カゴに商品を追加するなど──を消費者から引き出せることもあるが、膨大な数のメッセージの大半はターゲットを狙い損ねている。
どの刺激が消費者の反応を促すのかを予測できれば、それが企業にとって貴重な情報となることは明らかだ。たとえば、ホームページへのアクセスから、商品購入へとつながる割合がわずかに上昇しただけでも、収益性に大きな影響を及ぼすからだ。
従来は数多くの刺激のうち、消費者行動を喚起するものを特定するのは非常に難しかった。考えられる組み合わせがあまりに多い、というのが主な理由だった。
ところが現在では、製薬会社のリサーチ部門などの分野で応用されていた「実験計画法」(design of experiments)というテクニックを、以前より容易に、比較的低コストで利用できるようになった。これは、ある刺激が消費者の反応に与える影響を定量化する方法だ。マーケターは、キャンペーンを構成するさまざまな要素が、消費者行動にどのような影響を与えるかを分析できるようになる。
このアプローチは従来の市場調査よりもはるかに正確で、費用対効果が高い。そして、企業が提供する情報にどう反応するかを知っていれば、消費者のニーズに的を絞ったマーケティング計画の立案が可能となり、結果として収益を向上させることができる。
従来のテスト手法は頭脳より腕力
こうした刺激についてのテストをさまざまな形態で行うことは、マーケティングや広告の世界では目新しいことではない。とりわけ、ダイレクト・マーケティングでは、はるか前からスプリット・メーリング(対象者を分けて異なるダイレクト・メールを送付する)などの単純なテクニックを使って、価格やプロモーション内容が異なると、顧客の反応がどう変わるかを比較してきた。
ただ、キャンペーンの選択肢が2、3種類のうちはよいが、それ以上評価しようとすると、たちまちコスト高になって手が出せなくなってしまう。