仕事を辞めたくても辞められない状況を、キャリア成長の機会に変える
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サマリー:仕事を辞めることが最適な選択となる場合もあるが、経済的な事情、勤務地の制約、厳しい労働市場といった要因から、辞めずに残るほうが得策、あるいはそれしか選べない場合も多い。では、いまの職に不満を抱えながら... もっと見るも辞められない時、どのように自分を立て直せばよいのか。本稿では、そうした状況を単なる我慢の時間にするのではなく、キャリアを前進させる機会へと変えるための4つのステップを紹介する。 閉じる

仕事を辞めたくても辞められない時

 多くのプロフェッショナルは、時には現在の職務や組織にフラストレーションを感じることがある。退職することが正解の場合もあるが、自分でコントロールできない状況によって、辞めずに残ったほうがよい場合もあるし、残るしかない場合もある。ただ、もしあなたが不満を感じている職務に留まらざるをえない場合でも、選択肢がないわけではないことを認識することが大切だ。

 本稿筆者の一人であるシャロン・メルニックはエグゼクティブ対象の心理療法家およびコーチとして、もう一人の筆者ドリー・クラークは著作家および基調講演者として、プロフェッショナルやトップリーダーと関わってきた経験から、この困難な時期をキャリアの貴重な段階へと転換する4つの戦略を見つけ出した。

みずからの選択として残る

 職場でネガティブな経験が絶え間なく続くと、脳は学習性無力感という状態に無意識に固定され、その結果、コントロール感が減退し、バーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こすことがある。身動きが取れないと嘆くのではなく、現時点で自分にとって不利益よりも利点のほうが大きいならば、残ることを積極的に選択して、コントロール感を取り戻そう。たとえば、仕事を「やらねばならない義務」と見なすのをやめて、心の中で「私は自分の意思で仕事に来ている」と唱える。あるいは会社(そして給料)を、「将来的なキャリアの転換に向けた資金調達の手段」だと思うようにする。

 自分が主体であるという感覚を保つために、四半期ごとに自分自身と向き合い、この職に留まる価値があるかどうかを再評価しよう。たとえば、次のことを自分に問いかける。

・仕事のどの側面が自分の成長に役立っているか(あるとすれば)。

・いま形成しておくと後で役に立つスキルや経験、人脈はあるか。

・自分にとって、仕事に耐えられなくなる最後の一線は何か(辞める決断の引き金になる)。また、そこまで達したことを、どのようにして判断するか

 こうした問いによって、終わりのないコミットメントが意識的な選択の積み重ねへと変わり、職業生活において、よりはっきりとした主体感を持てるようになる。