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共同CEO体制の成否はどこで分かれるのか
オラクルは、AI時代を牽引すべく新たな共同CEOを2025年9月下旬に任命した。就任したのは、直近までクラウドインフラストラクチャーとAIトレーニング事業を統括していたクレイ・マグワイクと、AIエージェントを含む業界向けアプリケーションスイートを統括してきたマイク・シシリアだ(前任の共同CEOの一人は、健康上の理由で休職後にがんで亡くなったマーク・ハードとともに共同CEOを務めていたサフラ・キャッツ)。この新たな共同CEO体制の根拠は、補完的なビジネスの専門性と、AIに対する共通の取り組みにある。しかし、マグワイクとシシリアがうまく協力するためには、それ以上のものが必要だ。
共同CEO体制は、ネットフリックスのかつてのテッド・サランドスとリード・ヘイスティングス、そして現在のサランドスとグレッグ・ピーターズのように、成果を挙げている組織もあるが、苦戦するケースもある。たとえば、SAPは2020年、パンデミックという激動の時期に「より明確な責任と迅速な意思決定」が必要であるとして、わずか半年で共同CEO体制を廃止した。
では、なぜ共同リーダーシップ体制は、成功するものとプレッシャーの下で崩壊するものに分かれるのか。
答えは、その概念ではなく、リーダーの姿勢と実行力にある。共同リーダーシップは本質的に良いものでも悪いものでもない。それは、リーダーがどのように設計し、どのような意図や規律を持って臨むかによって、その効果を増幅させるツールにすぎない。
共同リーダーシップが有効なケース
従来の単独CEOモデルは、ビジネスの動きがより緩やかで、競争の境界線がより明確だった時代に生まれた。今日の環境では、異なるアプローチが求められる。現代のCEOに求められることを考えてみよう。それは、ステークホルダーの期待に応えながらデジタル変革を主導し、オペレーションの卓越性を確保しながらイノベーションを推進し、地域との関連性を維持しながらグローバルな複雑性に対応するという、すべてをリアルタイムで行うことだ。この超人的な職務内容は、個人の能力を超えたビジネスの複雑性を反映している。
共同リーダーシップは、認知的負荷と運営的負荷を意図的に分割することで、これに対処する。ネットフリックスでは、ヘイスティングスが技術と企業戦略に注力し、サランドスがコンテンツとグローバル展開を担当したが、両者は単に業務を分担していたのではない。彼らは、互いに補完的な分野の専門性を活かしていた。
このアプローチは、業績データによって裏づけられている。1996~2020年に共同CEOが率いた上場企業87社を対象とした調査では、共同CEO体制下での年間平均株主利益率が9.5%で、各企業の関連指数における平均6.9%を上回っていた。約60%が指数を上回り、共同CEOの平均在任期間は約5年と、単独CEOと同程度だった。






