入社後にリスクをもたらす採用候補者の「6つの危険信号」
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サマリー:不適切な人材の採用は、組織に混乱やコスト増大をもたらす。ハーバード・ビジネス・スクールが調査を行ったところ、採用候補者が示す6つの危険信号(レッドフラッグ)が明らかになった。企業は警告サインを察知し、... もっと見る候補者はそれらを回避しなければならない。本稿では、自己認識の不足、準備不足など、特定された危険信号の6つのカテゴリーごとに、候補者と採用チームの双方に対する具体的なアドバイスを提示する。 閉じる

企業に悪影響を与える採用候補者の特徴

 たいていの組織は、不適切な人材の採用がもたらす深刻な結果を認識している。すなわち、チームダイナミクスの混乱、業績不振、機会の逸失、離職に伴うコストなどだ。

 その結果、採用プロセスに関わる人々は、候補者が職務に適さない可能性を示す兆候に細心の注意を払う傾向にある。筆者らは、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のエグゼクティブ・エデュケーションの参加者350人(欧州大手500社、グローバルな消費財グループ、および多様な業界の米国企業40社以上のトップリーダーおよびシニアリーダー)を対象とした調査を通して、懸念すべき6つの主要なカテゴリーを特定した。それが、自己認識の不足、準備不足、マナーやプロフェッショナリズムの欠如、過度な自己利益の追求、過去・現在の雇用主との問題ある関係、ジョブホッピングの経験だ(注:この調査は採用プロセスのうち、オンライン応募やAI選考ではなく、対面の段階に焦点を当てたものである)。

 求職者が成功を収めるには、これらのレッドフラッグ(危険信号)のいずれも示さないようにしなければならない。一方、企業側は、真の警告サインを察知すると同時に、回避可能なコミュニケーションの齟齬によって有能な候補者を不採用にしないよう注意する必要がある。双方に求められるのは、以下の3つの「C」だ。

・Clarity(明確性):何を求めているのか、何を提供できるのかを知る。

・Courtesy(礼儀正しさ):敬意、プロフェッショナリズム、親切心を持って他者と接する。

・Coherence(一貫性):自身の決断、成功、失敗について、それらがいかに現在および将来の計画と結びついているかを示す、一貫性のあるストーリーを語る。

 本稿では、危険信号のカテゴリーごとに、候補者および採用チームに対するより具体的なアドバイスを提示する。

自己認識の不足

 この失敗のカテゴリーは、エグゼクティブが最も頻繁に指摘したもので、不十分な自己評価や不適切なほど積極的な自己PRが含まれる。あまりにも多くの候補者が、より高位の役職を目指す場合でさえ、過去の業績や、自身が応募する職務にいかに適しているかを説明できない、あるいは将来の目標を表明することができない。また、自慢話や人脈の誇示にふけり、業績やスキルよりもステータスの象徴に焦点を当てる人もいる。求職者と組織はいかにして、この課題を克服できるだろうか。

候補者へのアドバイス

・自身のスキルを詳細なレベルで評価する。どこが確固たる強みで、どこに可能性があるのか。成長過程にあるのはどこで、今後習得が難しいのはどのスキルセットか。

・自身のスキルが異なる環境でどのように発揮されるかを考える。どこで、どのように、誰と一緒の時に最高の仕事ができ、どのような状況で弱みが出るのか。

・自身のスキルや意思決定スタイルを説明するための具体的な職務上のエピソードを用意する。