CEOにとって最も厳しい「就任2年目」を乗り切る方法
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サマリー:CEOにとって最も困難な時期は就任1年目だと考えられがちだが、データは異なる真実を示している。実際には2年目の離職率が突出して高く、真の試練はこの時期に訪れるのだ。なぜなら、1年目の「学習と期待」の猶予期間が終わり、2年目は「実行と証明」が求められるからである。本稿では、この危険な移行期に直面する力学の変化を分析し、CEOが長期的な成功を収めるための戦略と取締役会の支援策を解説する。

CEOが最も苦戦するのは1年目より2年目

 CEOの在任期間において、1年目が最も困難な時期であると考えられがちだ。実際、トップの座に就く際の困難は計り知れない。短期間で非常に多くのことを学ばなければならず、絶え間ない監視の目にさらされ、あらゆる意思決定に対して容赦ない注目が集まる。

 しかし、データは異なる現実を示している。CEOにとっての真の危険は、1年目ではなく、2年目に潜んでいるのだ。

 その理由は何か。1年目は主に期待の期間であるのに対し、2年目は証明の期間となるからだ。本稿では、1年目と2年目で何が変化するのか、2年目のCEOがいかにして成功を収めることができるか、そして取締役会がこの移行期のCEOをどのように支援できるかについて論じる。

2年目のダイナミクスの変化

 ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ(RRA)の「グローバルCEO離職指数」の一環として筆者らが行った調査で、1年目に離職するCEOと比較して、2年目またはその直後に離職するCEOが約3倍に上ることが明らかになった。2024年に離職したCEOのうち、1年目に離職した人は44人、2年目は87人、3年目の前半は60人だった。

 たいていの新任CEOにとって、最初の1年間は、ある程度、好意的な評価が得られる猶予期間となっている。ステークホルダーは学習期間を想定し、あらゆる疑問に対する答えがすぐには出ないことを理解している。そして、CEOが方向性を定め、シニアリーダーシップチームを再構築し、戦略を策定する間は忍耐強く見守る。こうした移行期の行動は、信頼を確立し、基盤を整える。

 これらの行動はどれも活力と方向性を示し、理論上は評価されやすい。しかし、本当の試練はその後に訪れる。複数の要因が重なり合い、CEOにとって2年目は極めて危険なものとなるのだ。