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不確実性の中で人を動かすリーダーシップ
ダレン(筆者が助言していたメディア企業のCEO)は、エグゼクティブチームが何を求めているか、よくわかっていた──よりスピードを上げて、より多くの人材を雇い、組織の能力を拡大することだ。理論上はそうだろう。市場は熱を帯び、競合他社は着実に勢いを増していた。しかし、ダレンは何かが引っかかっていた。
彼は、前回、成長を追い求めた時のことを思い返した。顧客サービスの質がどれほど急速に悪化して、回復にどれほど苦労したか。その記憶から、2つの疑問が浮かんだ。成長は、いまこの時に、組織にとって本当に優先すべきことなのか。そして、自分が躊躇しているのは戦略そのものよりも、自分はこの局面を率いるのにふさわしいのかという問題ではないのか。
この時ダレンは、組織も人と同じように異なる「季節」を経験し、それぞれの季節に特有のリズムと要求があるという現実が見えてきた。多くのリーダーは、組織を力強く、速く、前へと進めることで評価される。しかし賢明なリーダーは、立ち止まって自分に問いかけることができる。いま、自分たちはどの季節にいるのか。そこではどのようなリーダーシップが求められているのか。
この問いが重要な理由は、両利きのリーダーシップに関する研究が示している。探索的行動(実験と学習)と搾取的行動(集中と規律の推進)を柔軟に切り替えることができるリーダーは、より高いパフォーマンスとエンゲージメントを達成するのだ。
ただし、それぞれの季節がリーダーシップに求めることはさらに広範で、リーダーの役割そのものを、「加速者」「癒し手」「導き手」「再建者」として再構成する必要がある。適応型(アダプティブ)リーダーシップの研究が強調するように、最も困難な課題は、不快さや不確実性のなかで人々を動かすことだ。「移行」期や「リセット」期には、まさにその力が求められる。
組織がいまどの季節にあるのかを見極める
自然の季節と違って、組織の季節には、決まった順序がない。組織は複数の季節の間を行き来し、それぞれで異なるリーダーシップが要求される。
たとえば「リセット」期においては、リーダーは状況を理解して複雑さを削ぎ落とし、優先順位を再設計して、組織が明確さと集中力を持って前進できるように導くことが求められる。ただし、こうした行動は、特にスピードと成長が何よりも重視される文化では、ためらい、野心の欠如、あるいは弱さと誤解されやすい。
明確なフレーミングがなければ、立ち止まることは迷走に見え、簡素化は縮小に感じられ、整合性と明確さが最も必要な時に組織は自信を失ってしまう。この段階の脆弱さは、学術研究でも裏づけられている。組織変革は、十分な明確さと適切なペースで導かれないかぎり、従業員の心理社会的リスクを高め、メンタルヘルスの悪化につながる。
組織の季節は、直線的な順序というよりも、周期的に機能する。たとえば、信頼が損なわれた時は「成長」期から「回復」期へと移り、重大な意思決定の後に「移行」期から「リセット」期に進むこともある。







