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生成AIの使用は高コストである
AIの世界の覇権争いに、行きすぎという言葉は存在しないようだ。次世代AIは、さらに何テラバイトものデータと、何ギガワットもの電力、そして数千億ドルの人材投資を必要とするだろう。
しかし、利益はまだ乏しく、バブルが迫っていると警告するエコノミストもいる。それでもトップを走るオープンAIは、エヌビディアや米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、さらに最近ではブロードコムと数十億ドル規模の半導体調達契約を結び続けている。
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)准教授のアンディ・ウーは、AIに大きな将来性があることは明白だが、こうした巨額投資に見合ったリターンがあるかどうかについては、依然としてはっきりしないと語る。チャットGPTに喜んで毎月わずかな使用料を払う人もいるかもしれないが、サブスクリプション収入だけでは、AI技術をスケールするのに必要なコストはカバーできないというのだ。
「問題は、現在の生成AIは変動費が高く、変動収益は低いことです」とウーは語る。「一般の人があまり考えていないことの一つは、生成AIの利用は、とてつもなく高くつくということなのです」
筆者は、ウーが2025年6月に作成したケーススタディ“AI Wars in 2025”(2025年のAI戦争)に基づき、この業界特有の課題や競争、そして考えられる結果について話を聞いた(明快さを期するため、またスペースの関係上、インタビューの内容は編集してある)。
──AIのコストについて、わかりやすく教えてください。
ウー(以下略):ほとんどの人は、主な生成AIモデルを訓練するには大がかりな固定費がかかることを知っているでしょう。ただ実は、生成AIを活用するための「推論」にも莫大な変動費がかかります。これはプロンプトを入力して回答を得るたびに発生します。
たとえば、生成AIで写真をスタジオジブリ風に加工した画像がありますよね。この楽しい画像をつくるためには、かなりのコストがかかります。1枚の画像を生成するだけでも、数セント分の電力とチップ容量を使用しています。オープンAIは現在、2030年までに1500億ドル以上の推論コストがかかると予想しています。
こうしたことが、現時点で(AIプログラムから)利益を上げることを難しくしています。ほとんどのユーザーは生成AIを無料で使っていますよね。ヘビーユーザーは料金を払っていますが、それでも定額のサブスクリプション料金です。このビジネスモデルはソフトウェア時代のレガシーです。でも、当時のソフトウェアの変動費はゼロか、限りなくゼロに近かったために、こうしたビジネスモデルは理にかなっていました。利用者が増えるほど、赤字が膨らむということはなかった。いまは、利益を上げるのがずっと難しくなっています。






