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顧客が求めるものを体現するリーダー
筆者は30年以上にわたり、優れたリーダーシップについて研究してきた。人はどのように最高のパフォーマンスを発揮するのか。なぜ一部のリーダーは、いつも周囲にやる気を起こさせるのか。なぜ権限があっても、それができないリーダーがいるのか。
筆者が約2年前にウォルト・ディズニーの定性調査をしていた時、何度も同じ名前が出てくることに気がついた。その名は、ジョシュ・ダマロ(編集部注:2026年3月に、テーマパーク部門のトップから新CEOに就任)。一般的な有名人ではなかったが、誰もがダマロの下で働き、彼にならい、ともに物事を築きたいと思っていた。それは「ジョシュ効果」と呼ばれていた。
このように実在する優れたリーダーの話を聞くと、筆者は研究者として常に取り組んできたことを行う。つまり、研究だ。
その機会は3回あった。ディズニーが運営するテーマパークで一日過ごした時と、ダマロのオフィスでインタビューをした時、そしてディズニーのクリエイティブ研究開発部門であるウォルト・ディズニー・イマジニアリング(Walt Disney Imagineering)のデザイン会議(設計セッション)の最中に、アトラクションの試乗「ライド・アロング」に参加した時だ。
ある日、ダマロの後をついていくと、従業員用の通用口ですれ違った料理人が、ダマロを抱きしめた。従業員が会社の上級幹部にするような用心深いあいさつではなく、友人同士が親しみを込めてするような、フランクなあいさつだった。組織の序列を考えると二人の距離は極めて大きいが、その気安いあいさつに距離はまったく感じられなかった。
また別の日に、ディズニーのテーマパークでダマロのことを聞いて歩いていると、ある警備員が近づいてきた。そして私を脇に呼んで、自分の担当ゲートをダマロが通った時の話をしてくれた。あれこれ言葉を交わすうちに、親が子どもの成長をどう手助けするかという話になったという。「彼は善人だ」と、その警備員は静かに言った。
テーマパーク内のメインストリートを歩いていると、来園者(ゲスト)がダマロに駆け寄って、写真を撮ってほしいと頼んだり、感謝の言葉をかけたりしていた。筆者は皮肉屋ではないが、一定の懐疑心を持つ神経質な英国人だ。しかし、そこで目撃したことは、心理測定上のあらゆる懐疑論を吹き飛ばすものだった。その日は、実に多くの愛情を目にした。ゲストはダマロに会うと興奮して、満面の笑みを浮かべ、写真を撮るために駆け回っていた。
従業員もまた、満面の笑みを浮かべていた。それを見て思い浮かんだ言葉は「誇らしい」だった。彼らは、ダマロがゲストからとても愛されているのを誇りに思っているようだった。そして、自分がその愛の一部であることや、自分たちのリーダーがそこにいて、言葉に耳を傾け、生身の人間として、ゲストがディズニーに求めるものすべてを体現してくれることを誇りに思っていた。
その日、筆者が書き留めた言葉は、「誇り」のほかにも、「励まし」「つながっている」「一体になって」「明快で」「結束」などだった。「彼は有名人ではない」と筆者はメモしている。「彼らがダマロを愛しているのは、彼らがイメージするこの会社のリーダーそのものだからだ」
「経験知性」とは何か
筆者がそこで見たのは、個性やカリスマではなかった。





