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高いパフォーマンスは仕組みによってつくられる
2026年初め、ある金融サービス企業のCEOが全社員宛てにメールを送信した。添付されていたのは、NBA(全米バスケットボール協会)のスーパースター、ステフィン・カリーがコートのほぼ反対側から放った超ロングシュートの動画で、ボールがネットをきれいにくぐり抜けると、観客は大歓声を上げた。
メールには次のように書かれていた。
高い成果を上げている人に成功のコツを尋ねると、犠牲、規律、そして生まれ持った才能を挙げる人が多い。この説明は間違いではないが、それだけでは不十分だ。
ステフィン・カリーは、スキルと学びをたえず向上させるシステムの中で鍛えられた。彼の才能は競争によって磨かれた。コーチやチームメートは、彼に卓越した成果を求めた。そしてチームのルーチンによって、学ばざるをえない状況がつくられていた。
個人の卓越した才能のように見えるものは、実際には目に見えないシステムの産物であることが多い。
筆者らは計50年以上にわたって、CEOや上級幹部チームに助言したり、世界レベルの組織内で大規模なチームを率いたり、卓越した組織に関する調査を行ったりしてきた。そうした経験に基づいて言えば、組織にも同様のことが当てはまる。
リーダーは卓越性を才能や報酬、企業文化の問題として語りがちだ。成果にばらつきが出ると、人々が働いている環境ではなく、個人の問題点を探ろうとする。システム自体がばらつきの主要因と見なされるケースはほとんどなく、その結果、お馴染みの対処法──人材の入れ替え、インセンティブの見直し、組織文化の改革の立ち上げ──が取られる。
多くのCEOが企業文化や人材に多額の投資を行っているが、それらと実行や成果達成の実態を結びつける一貫したモデルは持ち合わせていない。
筆者らの調査によって、長期にわたって高いパフォーマンスを維持する組織は、卓越性を設計上の問題として捉えていることが明らかになった。学習、協働、厳格な規律に基づく卓越性の追求を日常業務の一部に組み込むシステムが構築されているのである。そうした組織は、人材を輩出し、また卓越性が自然に強化されていく仕組みの恩恵を求めてトップレベルの人材が集まる場所となっている。
パフォーマンスを形づくる3つの要素
こうした仕組みが最もはっきりと見えるのは、組織が人の能力をいかに効果的に引き出し、発揮させるかが、パフォーマンスの高低に直接的に影響する領域である。そうした領域では、高度に専門的なスキルが結果を左右し、結果の透明性が高く、失敗の代償も大きい。金融、医療、テクノロジー、パフォーミングアーツ、特殊部隊、そして冒頭で紹介したスポーツなどにおける専門分野やトップレベルの領域がこれに当たる。
これらのシステムに共通するものを詳しく見ていくと、卓越したパフォーマンスを加速・強化するために、密接に連動するよう設計された3つの要素が浮かび上がる。
1. 人材:トップ人材が何を経験し、どのように技術を身につけるか。
2. チーム:チームがどのように機能し、互いに責任を持たせ合うか。
3. ルーチン:業務上の重要な局面がどのように構造化され、振り返られ、繰り返されるか。
たとえば航空業界では、人材は飛行訓練、チームはコックピットでの連携、ルーチン業務はチェックリストの規律ある運用に相当する。卓越したパフォーマンスを持続している組織では、この3つの要素が意図的に編み込まれ、一つのシステムとして機能している。変速機の歯車のように互いに連動し合うことで、高いパフォーマンスが日々の業務の進め方そのものに組み込まれているのだ。





