-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
なぜ多くのCDOは短命に終わるのか
データは急速に、あらゆる意思決定や顧客接点、社内プロセスの不可欠な要素になりつつある。データと分析能力の向上がもたらす機会は、バリューチェーン全体にわたって明らかだ。それは、パーソナライズされたレコメンドを提供する顧客向けアルゴリズムツールから、応募者の履歴書選考を自動化する企業向けツールに至るまで多岐にわたる。効率性の向上、よりよい意思決定、さらなるイノベーションの重要な推進力としてデータと分析の重要性が高まる中、Cスイートに新たな役職──最高データ(およびアナリティクス)責任者(CDO)──が登用され始めている。
データや分析機能の重要性が急速に高まっているにもかかわらず、多くのCDOは自分たちのデータや分析能力から生み出された事業成果を、適切に評価し、金銭換算することができずにいる。期待に応えられず[注1]短命に終わる[注2]CDOが多いのは驚くまでもない。
ハーバード大学デジタルデータデザイン・インスティテュートのデジタルバリューラボにおける研究プロジェクトの一環として、筆者らは、この職務の最前線にいると広く認められているCDO17人を対象に、詳細なインタビューを実施した。このインタビューをもとに、CDOがどこで価値を創出し、どのようにそれを評価し、金銭的価値を付与できるかを総合的に分析した。価値を創出[注3]し実証する戦略に加え、データ分析リーダーが現在導入している定性的、および定量的な評価方法に関する知見も紹介したい。
CDOが価値を創出する方法
CDOは一般的に、相互に関連する4領域に影響を及ぼす。各領域への影響力の強さは、データ責任の分散・統合[注4]の度合いによって増減する。第1の影響圏は事業価値に直接結びつき、ユースケースに直結するデータプロダクトと呼ぶことができる。こうしたプロダクトは、内外の顧客が抱える特定の事業課題を解決するために、(主にCDOをトップとする組織によって)開発、維持、継続的な改善が行われる。
第2に、CDOはたいてい組織のデータ資産やプラットフォーム(多目的データプロダクト[注5]と呼ばれる場合もある)を精査し整理する。これは本質的に再利用可能な資産であり、組織全体でチームがデータに容易かつ効率的にアクセスし、その資産上にユースケース主導型データプロダクト(レポートを含む)を構築できるようになる。多くの企業にとって最初の資産となるのが、事業部門横断で顧客関連の情報をすべてまとめた「カスタマー360」だ。
第3の影響圏は、概念的には最初の2領域の下部に位置し、組織のデータアーキテクチャやガバナンスで構成される。この領域では、データプロダクトチームが効率的かつ標準化された方法で運用するために欠かせない、技術的および管理的インフラを支えている。
第4の影響圏は、組織、より具体的にはその人材だ。いかなるデータプロジェクトでも、組織はその基盤を形成している。なぜなら、一般的なデータリテラシーと専門データ人材の双方を提供し、育成するのは組織だからである。
活動領域を理解することは重要だ。企業は通常、データや分析の技術リーダー、事業全体のビジョナリー、データ主導の意思決定を促進する文化革新の担い手、データガバナンスの専門家といった、多様な期待を抱いてCDOを雇用する。しかし、成功するにはこうした異なる役割間での協働が求められる。自信を持ったCDOは、それぞれの影響圏において価値を提案し、評価し、主張する必要がある。
データプロダクトのための価値提案
データプロダクトとは、特定のビジネスプロセスに対して、適切な品質で、適切なデータを、適切な時に提供するためにCDOが開発・管理するアプリケーションだ。その目的は、社内業務の改善、製品・サービスの強化、まったく新しい提供価値の創出、外部パートナーへのデータ提供などのために、実行可能な知見を生み出すことにある。
CDO組織は事業部門ごとに対応し、それぞれについて事業側と共同でデータプロダクトのロードマップを作成し、最も効果的なユースケースを優先させ、学際的チームを編成し、アジャイル開発[注5]とデータオプス(DataOps)の原則に沿って、データプロダクトを開発、維持、改善する。



