人流データの圧倒的な量と質という優位性

 人々が「いつ」「どこに」「どのくらい」「どのように」移動したり滞在したりしているかを可視化した情報は、「人口統計」、あるいは一般に「人流(じんりゅう)データ」と呼ばれる。後者の呼び名は、特にコロナ禍以降に定着した印象がある。

 従来、駅や小売店など特定の場所を「通過」した人数は把握できても、多くの人が国内の津々浦々をどのように動いたり滞在したりしているかといった「動態」をつかむことは難しかった。しかし近年では、携帯電話(昨今ではスマートフォン)の登場により、その動態はかなり精緻に把握できるようになっている(図表1「モバイル空間統計の人口マップ画面の一例」を参照)。

 NTTドコモでは、携帯電話ネットワークを利用する約9100万台(2025年3月実績)という国内最大規模の基地局運用データに基づき、日本全国の人口動態を推計・分析する統計情報サービス「モバイル空間統計」を展開している。同サービスでは、日本全国、24時間365日の人の動きがほぼリアルタイムで可視化される。そのデータにさらに、性別や年代、居住エリアなど多様な属性や切り口と掛け合わせて分析することで(図表2「モバイル空間統計の人口マップに加えられる属性情報」を参照)、次のようなデータを把握できる。

・混雑状況:時間帯や日による人の密集度の変化

・移動経路:どこからどこへ、何を使って人が移動しているか

 これらを提供した企業や官公庁で、顧客行動の理解やマーケティング戦略の最適化、店舗立地や商品配置の最適化、需要予測、イベント効果測定などに活かされている。

 モバイル空間統計の分析対象は、国内で暮らす携帯電話の契約者に留まらない。訪日外国人についても約1700万台(2024年実績)のデータをカバーしており、インバウンド(訪日外国人旅行)の動態を把握するうえでも圧倒的な規模を誇る。出国地や出入国空港のみならず、国内の訪問地や滞在期間、時間帯ごとの行動といった分析が可能である。