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『企業とは何か』
原題:Concept of the Corporation(1946)
【注】最新版は2008年刊行の名著集に収録。入手可。
『会社という概念』(岩根忠訳、東洋経済新報社、1966)
『企業とは何か——その社会的使命』(上田惇生訳、ダイヤモンド社、2005)
名著集『企業とは何か』(上田惇生 訳、ダイヤモンド社、2008)
主な内容
産業社会ははたして社会として成立するか。そのためには、事業体として、社会の代表的組織として、産業社会の存在として、企業はどうあるべきか。
当時の世界最強のメーカーだったゼネラルモーターズ(GM)に招かれ、同社を調査してまとめた本書が、GMのライバル、フォード再建の教科書となり、その後、世界中の企業、政府機関、NPOの組織改革ブームの火付け役となった。
しかし当のGM経営陣は、「経営に絶対はない」「現場を知っているのは現場である」「社会のことも考えよ」という指摘に猛反発、ドラッカーの提言をあたかもなかったかのように振る舞ったという。その後のGMの凋落は歴史が示すとおりである。
世界初の企業論として、のちのドラッカー経営三部作への架け橋となった。
目次
第1部 産業社会は成立するか
第1章 企業が基盤となる産業社会
第2部 事業体としての企業
第2章 事業を遂行するための組織
第3章 分権制の組織と原理
第4章 分権制をいかに機能させるか
第5章 社外パートナーとの連携
第6章 分権制はすべての答えか
第3部 社会の代表的組織としての企業
第7章 個の尊厳と機会の平等
第8章 産業社会の中流階級
第9章 働く者の位置と役割
第4部 産業社会の存在としての企業
第10章 企業の存続と社会の利益
第11章 生産活動の目的
第12章 完全雇用の可能性
終章 成功がもたらす失敗:エピローグ(1983年)
登場する主な企業・組織
GM、全米自動車労働組合(UAW)
登場する人物
アルフレッド・スローン・ジュニア、ダグラス・マクレガー、アブラハム・マズロー、ヘンリー・フォード
取り上げられているコンセプト、理論、手法
分権化、Z理論、民営化、品質管理(QC)
GMがドラッカーに怒ったわけ
「企業が中心となる産業社会というものは成立するか?」
『企業とは何か』の中でドラッカーは、この大胆な問いに対して、「成立する」と答えています。これには、事業を興す多くの経営者たちが感激し、勇気づけられました。
しかし、そのような産業社会が成立するためには、企業が簡単につぶれるようではいけません。企業の存在理由は「経済的機能を果たすこと」ですから、事業が事業として成立しなければならないのです。企業を評価するうえで、利益をあげつつ財やサービスを生み出すことは、必須の尺度となります。
企業は社会的組織ですので、「共通の目的に向けた一人ひとりの活動を組織化」しなければなりません。難しいのは、「企業にかかわる一人ひとりの目的の総和ではない」という点です。「共通の目的ではあっても共同の目的ではない」とドラッカーはいいます。
そうしたかじ取りを行うには、トップマネジメントの養成が不可欠です。そこで必要となるのが「分権制」でした。設備や生産方法やビジネスモデルではなく、先頭に立つ人たちの質がよくなければなりません。人を率いるということは、入社試験や分野ごとの専門スキルとは別の能力なのです。
さらに、産業が中心の産業社会が成立するには、企業と社会の価値観が共存しなければなりません。自由や平等を大切にする社会では、ワンマン企業は成立しません。
しかも、企業は世の中をよくすることも考えなければならない。「企業は社会のための道具であり、社会のための組織である」とドラッカーはいいます。マネジメントの原点として語られる本書ですが、実はマネジメントの本ではなく、政治と社会についての本なのです。
当時、自動車業界の覇権を握っていたGMに招かれ、ドラッカーは1年半にわたって調査した結果を本書にまとめました。しかし、これを読んだGM幹部は激怒しました。
GMの考え方の根本は、「自分たちはマネジメントを完成させた」「マネジメントは“上の人間”が考えればよいことで、従業員が考えるものではない」「安くて良い車を提供することが社会的責任である」というものでした。
当時GMはマネジメントをサイエンスととらえ、そのマネジメント学を極め尽くしたと考えていました。ところが、ドラッカーはマネジメントは科学などではなく、現場で作り上げていくものだととらえました。しかも20〜30年にわたって成功しているということは、すでに陳腐化していることだと主張したのですから、ぶつかるのも当然でした。
ドラッカーの面白いところは、何かをいったあとに、必ず一言つけ加えるところ。「本業は大事、でも本業だけじゃないよ」とか、「事業部制はすばらしい、でもただ導入するだけでは間違う」というように。
たとえ私の本に書いてあっても、それを丸呑みするのは間違っている。経営に絶対などというものはない。「人間社会にかかわる事柄において重要なことは、正しいか間違いかではない。人を大事にし、かつ機能するかしないかである」。それがドラッカーの考えでした。
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