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『経営者の条件』
原題:The Effective Executive(1966)
【注】最新版は2006年刊行の名著集に収録。入手可。
『経営者の条件』(野田一夫、川村欣也訳、ダイヤモンド社、1966)
選書『[新訳]経営者の条件』(上田惇生訳、ダイヤモンド社、1995)
名著集『経営者の条件』(上田惇生訳、ダイヤモンド社、2006)
主な内容
多くの経営書は「他人をマネジメントする方法」について述べるが、本書『経営者の条件』は「自らをマネジメントする方法」について述べている。
成果をあげる人間に共通する5つの方法について、特別な一握りの人間だけでなく、誰もが身につけられると説く。時間を管理する、貢献を考える、人の強みを生かす、集中する、意思決定の方法を知るなど、努力すべき事柄が具体的に書かれている点が、いまなおロングセラーとして読まれ続けている理由だろう。
目次
序章 成果をあげるには
第1章 成果をあげる能力は修得できる
第2章 汝の時間を知れ
第3章 どのような貢献ができるか
第4章 人の強みを生かす
第5章 最も重要なことに集中せよ
第6章 意思決定とは何か
第7章 成果をあげる意思決定とは
終章 成果をあげる能力を修得せよ
登場する主な企業・組織
デュポン、フォード
登場する人物
アルフレッド・スローン、C. N. パーキンソン、フランクリン・ルーズベルト、セオドア・ヴェイル
取り上げられているコンセプト、理論、手法
成果主義、エグゼクティブの時間管理、パーキンソンの法則、知識労働者のマネジメント、職務の設計、意思決定、PERT
『経営者の条件』は“経営者”のものではない!?
『経営者の条件』という書名には「経営者」と入っていますが、大企業の経営陣や中小企業の社長のためだけの本ではありません。原題の「Effective Executive」を直訳すれば、「できる人」というほどの意味です。
かつては、会社の運命や社員の幸せは社長の経営手腕次第、リーダーの才覚によって成功するか失敗するかは分かれるという考え方が当たり前でした。そこで二代目は帝王学を学ばなければならないと、他社へ修業に出されたりしたものでした。
ところがドラッカーは、今やそういう時代ではない、組織のメンバー全員が自らを律する帝王学を身につけ、トップのように動かなければ、組織の成功、社会の繁栄はないというのです。
本書『経営者の条件』の前に書いた『創造する経営者』のなかで、ドラッカーは「事業」について語りました。そして、その次に掘り下げたいと考えたジャンルが「人」です。
しかし常々「人は操るものではない」といっているとおり、彼は「人」のマネジメントを論じること自体、あまり好きではありませんでした。そこで、その代わりに取り組んだのが、自らを成長させる「セルフマネジメント」だったのです。
会社を率いるトップの人たちではなく、組織で働く普通の人たちに教える“万人のための帝王学”を重視する理由を、ドラッカーはこういっています。
「成果をあげる能力によってのみ、現代社会は二つのニーズ、すなわち個人からの貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のための道具として組織を使うという個人のニーズを同時に満たすことができる」
組織の一人ひとりが自らの果たすべき貢献を考え、成果をあげる。手元の仕事から顔をあげ、目標に目を向け、組織に対する貢献を問いなさいということです。そう聞くと難しそうですが、幸いなことに、「成果をあげることは習慣であり、実践的な能力は修得できる」とのことです。
一つの会社で働くことが当たり前だった時代には、この『経営者の条件』は、サラリーマンにとってはピンとこなかったかもしれません。社長に才覚があれば会社の経営はうまくいき、社員は幸せになれたので、個人のニーズよりも組織のニーズに重きが置かれていました。
しかし現在、終身雇用制はとうに崩壊し、転職だって当たり前、フリーランスで働く人も増えています。サラリーマンといえども、一人ひとりが経営者のつもりで生きなければならない時代になりました。
まさに“万人のための帝王学”というキャッチコピーのとおり、本書『経営者の条件』は、この時代にふさわしい、万人のための一冊になったといえるのかもしれません。もし「自分は経営者ではないから……」と、タイトルだけを見て敬遠してしまっている人がいるとしたら、それはもったいないことだと思います。
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