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『イノベーターの条件』
原題:The Essential Drucker on Society(2000)
【注】「はじめて読むドラッカー」第三巻、社会編。入手可。
『イノベーターの条件——社会の絆をいかに創造するか』(上田惇生編訳、ダイヤモンド社、2000)
主な内容
新しい社会、新しいコミュニティが出現しつつある。IT化・グローバル化・高齢化に伴って誕生した「知識社会」「グローバル経済」「高齢化社会」がそのキーワードだ。新しい現実とともに、新しい機会と問題が存在する。社会の革新への条件を探り、読者に新たなビジョンを与える。
目次
パート1 激動の転換期にある社会
1章 社会の存在を当然としてはならない
2章 経済至上主義は人を幸せにするか
3章 20世紀の変化の本質は何か
4章 多元社会における組織の原理
5章 起業家社会の到来は何を意味するか
6章 NPOはなぜ成功したのか
パート2 断絶後の経済
1章 「継続の時代」は終わった
2章 世界経済の変貌がもつ意味
パート3 模索する政治
1章 理性崇拝は何をもたらすか
2章 改革の原理としての正統保守主義
3章 社会の問題に唯一の正解はない
4章 「利害による連合」の終わり
5章 国民国家から大国家(メガステイト)へ
6章 高齢者が政治を動かす
パート4 問われる知識と教育
1章 知識の政治学
2章 学校が劇的に変わる
3章 分析から知覚へ:21世紀の社会と世界観
付章 もう一人のキルケゴール——人間の実存はいかにして可能か
チェンジ・リーダーとイノベーターとは?
『プロフェッショナル』『チェンジ・リーダー』『イノベーター』の3部作は、ドラッカーを理解するうえで必須と思われる著作から、私が大きなまとまりを選定、編集し、ドラッカー自身が加筆・削除・修正を加えるという形でつくられたものです。3冊をまとめるまでに1年半、約500〜600時間を要した決定版ともいえるものです。
その最後がいよいよ[社会編]です。しかし、ドラッカーの世界に初めて触れた人からすると、「『プロフェッショナルの条件』は自己実現編だということはわかる。でも、なぜ『チェンジ・リーダーの条件』はマネジメント編で、『イノベーターの条件』は社会編なの?」と思われるかもしれません。
『チェンジ・リーダーの条件』は、変化の時代におけるマネジメントに焦点を合わせた一冊です。とくに知識労働者は、かつてのようにマネジメントされる存在ではなく、方向づけのみされる存在。変化を自らリードする「チェンジ・リーダー」とならなければなりません。ドラッカーは、まえがき「日本の読者へ」の中で、「もはやマネジメントは専門的な機能ではない。一般教養である。一般教養とは、教育ある人間が、自らの役割を果たすために知っておかなければならないことである」と記しています。
一方、『イノベーターの条件』は、新しい時代の社会、政治、経済、知識、教育の姿、激動の転換期における思考と行動の原理を書いたドラッカーの社会論です。社会を観察する社会生態学者として、今日の社会で「何が起こっているか」「それは本当の変化か」「それは何を意味するか」を考えたものです。
『イノベーターの条件』のまえがき「日本の読者へ」は、このようなものでした。
「私は、日本の読者が、本書によって創造力をかき立てられ、ルネッサンスを担うイノベーターとなって、あの戦後日本に匹敵する熱気ある社会を築かれることを祈念してやまない」
そう「イノベーター」とは、これからの新しい社会をどうつくっていくかを考え、担う存在なのです。だからこそ、ドラッカーは私たちが陥りがちな落とし穴を前もって示してくれます。
「組織、制度、政策もまた、製品やサービスと同じように、生命を失ったあとも生き延びる。一度できあがったメカニズムは生き続ける」
「完全な制度を発明することはできない。理想的な仕事のための理想的な道具を発明しようとしても無駄である。なじみの道具を使ったほうがはるかに賢明である」
ここでもやはり、大きな社会の問題を指摘しつつ、「役に立たなければ意味がない」とするのがドラッカーなのでした。
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