面接を親の敵と思っているわけではないが、少し手間と費用を惜しまなければ、もっとよい選考方法を活用することができる。ここでおさえるべき第2のポイントは、「いい人を厳選採用することから、仕事のできる人を見極めることへ」のパラダイム・シフトである。

面接を捨てる覚悟

 面接を行わない選考のイメージは、仕事のミニチュア版とか仕事のシミュレーションである。インターンシップ型の選抜といえばわかりやすいだろうか?(とはいえ、日本経団連や文科省が、インターンシップを、「選考活動とは一切関係のない就業体験を伴う5日間以上のプログラム」と定義づけているので、インターンシップという名の下での選考はやりにくい)。

 学生は働いた経験がないから、仕事について評価することはできないと信じられている。だからといって、サッカー選手をセレクションするのに、面接で済ませるチームはない。面接の受け答えよりも、やらせてみるのが一番だ。とくに、現場を重視する文化がある企業では、価値観に合っている

 仕事に直結した選考方法を使えば、採用した後での仕事の成果を予測するのに役立つ。すこし手間と費用がかかるが、少ない応募者の中からでも、優秀な人材を採用することができる。たとえば、ワークスアプリケーションズでは、「問題解決能力発掘インターンシップ」を実施し、年間2万人近い応募者を集めている。

 そこでは、「1週間でシステムを構築せよ」といった、実際の仕事で直面しそうな課題を学生に課し、社員はほとんど手出しをしない。独力で問題を解決する能力が、現場で試されるのである。だから、学生であっても、仕事の能力で選考していくのがよいだろう。グローバル人材を求めるならば、グローバルな仕事をミニチュア化し、社員の手助けなしにやらせてみて、その成果で選考するのは一つの手だ。

 面接を捨てる覚悟をもった企業に、「脱」ガラパゴス人事の光は射している。とはいえ、筆者もある企業に「面接と手を切ること」を提案したが、「面接をしないことはありえない」ということで、激しい抵抗にあった。だから、「1回だけ面接を許してあげます」という妥協案に落ち着いている。