リーダーが「やらないこと」を決めるための3つの問い
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サマリー:経験豊富なリーダーでも、次々と重要課題が生じる環境では緊急対応に追われ、人材育成など本来優先すべき仕事に手を回せなくなる。原因は時間管理の稚拙さではなく、すべてが重要に思える「空気に充満する切迫感」の中で、トレードオフの決定を迫られる点にある。本稿では、この切迫感に対処し、質の高い意思決定を下すための「3つのテスト」について解説する。

慢性的な切迫感を抱えたリーダーの周りで起きていること

 筆者は先日、売上高10億ドル規模のテクノロジー企業で10人のリーダーを対象にワークショップを開催した。その会社は、SaaS中心のビジネスからAI中心のビジネスへの転換を目指しているところだった。

 ワークショップの冒頭で筆者はこう切り出した──「過去90日の間に、どのようなことで苦労しましたか」。

 すると、たちまち参加者たちが活発に発言し始めた。

「なかなか仕事を切り上げることができません。いつも決まって緊急の課題が持ち上がります」と、ある参加者は述べた。

「優先度の高い課題から順に着手することができていません。すぐに対処しなくてはならない課題に対処することに追われているのが実情です」と、別の参加者は述べた。

 また別の参加者はこう述べた。「部下を育てることにもっと時間を使いたいのですが、忙しすぎて手が回りません。そうする間に、優秀な部下たちが会社を辞めていってしまいます。責任を感じずにいられません。他の課題に対処するだけで手いっぱいで、部下が必要としている支援を提供できていないのです」

 こうした発言をしたのは、新人リーダーではない。まだスキルが足りなかったり、課題の優先順位の見極め方について学ぶ必要があったりする人たちではないのだ。

 この面々は経験豊富なリーダーたちで、込み入った意思決定を下したり、大規模なチームを率いたりすることにも慣れている。ところが、何かがうまくいっていなかった。これはけっして特殊な事例ではないと、筆者はすぐに感じた。

 筆者は企業の上級幹部に対するコーチングの経験を通じて、同様のパターンをたびたび目の当たりにしてきた。このような問題は、そのリーダーが「ノー」と言えないことが原因ではないし、時間管理が稚拙なことが原因というわけでもない。