優れたリーダーはどのようにチームの会話を生産的にするのか
Illustration by Anna Micheloni
サマリー:多くの組織で会議の空転や機能不全が問題視されている。背景には、業務フローやAIツール等の最適化に傾倒する一方で、コラボレーションのOSである「会話」の質を組織的に管理できていない現状が存在する。本稿では、優れたリーダーが実践する「会話のスチュワードシップ」の重要性を解き明かし、チームの議論を生産的な成果へと導くための具体的な処方箋を提示する。

ピント外れの会議が行われる根深い原因

 誰でもピント外れの会議に出席した経験があるだろう。話題が取りとめもなく続いたり、重要なテーマが話し合われなかったりという具合だ。決定が下されないまま終わってしまったり、さらにひどい場合は、以前と同じ決定が繰り返されたりする。

 議題や日程に問題があるのではないかと考えたり、会議の数が多すぎるのがよくないと指摘したりしたくなるかもしれない。しかし、このような状況は、その会社にさらに根深い問題が存在していることを示唆している。

 あらゆる戦略、イノベーション、意思決定、人間関係は、会話から始まる。会議は、その会社の重要な会話の多くが行われる場なのだ。

 そうした会話が生産的なものであれば、チームはより素早く足並みを揃え、より創造的に問題の解決策を見出し、人間関係を強化し、より質の高い決定を下すことができる。しかし、生産性の低い会話しかなされていなければ、会社はそのツケを払わされる。時間を浪費したり、計画の実行がうまくいかなかったり、機会を活かせなかったりするのだ。

 では、リーダーはどうすればチームの会話を、失望の原因ではなく協働の推進力に転換できるのか。

 筆者らはこの10年間、70近い組織における100超のチームで会議に参加した1000人以上の人たちに、チームの有効性、会議の生産性、会話に関する慣行について尋ねた。

 すると、際立った傾向が浮かび上がってきた。チームの有効性と関連があるのは、どれくらいの頻度で会議を行うかではなく、一緒に過ごす時間をどのように用いるかだったのだ。会話が終わった時点で常に責任の所在と次のステップを明確にしているチームは、そうでないチームに比べて、「高い効果を上げている」と評価される割合が約4倍に達していた。

 この研究結果から引き出せる真理がある。話し合いが終わった時点で、明確な意思決定を行えていたり、人間関係を強化できていたり、よりよいアイデアを生み出せていたり、目標を共有できていたりするかどうかは、会話の質により決まるのだ。そして、リーダーは、その振る舞いにより会話の質に大きな影響を及ぼせる。

 企業のリーダーたちは、業務フローやデータの可視化、プロジェクトの計画立案、そして最近ではAIツールを改善するために、莫大なエネルギーを費やしている。しかし、突き詰めて考えれば、コラボレーションの土台を成すのは、こうしたものよりさらに古くからあり、さらにチームの深層レベルに関わる要素だ。コラボレーションのOS(オペレーティング・システム)は、テクノロジーではなく、会話なのである。

 幸い、意識的に会話を形づくるスキルを習得することは難しくない。そのスキルを「会話のスチュワードシップ(責任ある管理)」の能力と呼ぶことにしよう。