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「意図と行動のギャップ」は少しの工夫で埋められる
あなたの会社は、従業員に車の相乗り通勤を促進するインセンティブプログラムを提供している。ところが参加する従業員は少ない。この価値ある福利厚生を継続的に利用してもらうには、どうすればよいだろうか。
『マネジメント・サイエンス』誌に近く掲載される研究によると、プログラムへの登録を(ほんの少し)難しくすることで、「それだけの手間をかける価値がある」と感じさせることができるという。
「ある行動に時間をかけると、その行動自体により大きな価値を感じるようになります」と、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)ヴォルパート・ファミリー記念講座准教授のアシュリー・ウィランズは説明する。
退職後に備えて貯蓄する、健康的な食生活を送る、定期的に運動するなど、自分のためになるとわかっている行動でも、なかなか続けられないものだ。企業は、従業員に職場のウェルネスプログラムの利用を促したり、消費者に持続可能な選択を促したりするなど、行動変容を目的としたプログラムに多額の投資をしている。しかし多くの企業が、人々にプログラムに登録してもらうこと自体は、継続的な行動変容が必要なプログラムを続けてもらうことより、はるかに簡単だと気づき始めている。
この研究では、意図したことと実際の行動との隔たりを「意図と行動のギャップ」と呼んでいる。ウィランズによれば、最初に少し余分な手間をかけてもらうことで、目標に向けた行動を継続しやすくなり、企業にもメリットをもたらす可能性がある。たとえば小売業者なら、顧客のリピートを促すために、顧客にあえてひと手間かけてもらうステップを追加することが考えられる。
ウィランズはコンスタンツ大学助教授のホリー・ダイクストラ、米国評価科学局評価担当者のシビール・オフラハティと共同で、論文「バイイン効果:最初の努力を増やすことで、その後の行動継続を促す」を執筆した。
企業はより多くの人に「相乗り通勤」を促すことができるか
論文によると、最初の登録プロセスで目標に関連した適度な手間をかけることにより、コミットメントを促進するバイイン効果(buy-in effect)が生じて、対象の行動をその後も継続する可能性が高まる。著者らはこの仮説を、相乗り通勤に関するものを含む2つの大規模な実験で検証した。
1つ目の実験は、オレゴン州運輸局が運営し、地元企業が従業員に推奨している相乗り通勤プラットフォームにおいて、登録の難易度を変えて行った。相乗り通勤を研究対象に選んだのは、環境や費用への懸念から利用したいと考える人は多いものの、ウィランズが過去の研究で明らかにしているように、実際にはさまざまな段取りや手続きの問題が継続を難しくしているからだ。
「相乗り通勤への参加を増やすことは難しいのです」とウィランズは言う。「(金銭的なインセンティブではなく)行動面への働きかけによって、この行動を変える方法がないかと考えました」
この論文の著者らは2019年にオレゴン州運輸局がプラットフォームを移行した際、それまで実際に利用していなかった登録者2万7227人を対象に調査した。対象者を無作為に2つのグループに分け、一方には情報を再入力する必要がある「手間のかかるアカウント移行」を、もう一方にはワンクリックで済む「手間のかからないアカウント移行」を割り当てた。その結果、次のことがわかった。
・手間を増やすと、全体の参加者が減った。手間のかかるグループでは、手間のかからないグループと比較して、登録した従業員の数が25%減少した。







