【ビジネスの基本を3分でおさらい】リーダーシップ理論の変遷と、昨今注目される理論
(イラスト iStock/wenich-mit)
サマリー:リーダーシップ理論はどのように発展してきたのでしょうか。MBAのエッセンスを手軽に学べる本として人気を博し、累計発行部数47万部を超えるロングセラー書籍『グロービスMBA マネジメント・ブック』の大幅修正・増補した改訂4版が発売されたのを記念して、内容の一部を本連載でご紹介していきます。今回は、リーダーシップ理論の変遷と、昨今注目される理論を紹介します。

初期(1970年代頃まで)の変遷

 20世紀初頭までは、リーダーシップとは持って生まれた資質によると考えられていた。それゆえ、どのような資質を持つ人間がリーダーとしてふさわしいのかという研究が盛んになされた。これを「特性理論」という。

 その後、リーダーシップとは生得の資質で決まるものではなく、とるべき行動を学ぶことで開発できるという見解が広がっていった。とはいえ、リーダーシップと資質の関係性が全否定されたわけではない。自分の特性や強みを知ることは自分らしいリーダーシップの発露につながるからだ。

 1950年代から1960年代にかけて、リーダーは具体的にどのような行動をとるべきかが研究された。これが「行動理論」である。これに関して日本発の理論として有名なのが、三隅二不二が提唱した「PM理論」だ。これは目標達成に向けた行動(Performance)の強さと組織維持(Maintenance)の強さの強弱で4つのタイピングを行うもので、最も好ましいのは両方の軸に貢献する行動をとるPM型のリーダーと考える。

 行動理論の考え方は決して間違ってはいないが、リーダーのとる行動が常に効果的かまでは証明できなかった。そこで登場したのが「条件適合理論」である。条件適合理論は、部下の置かれた状況によって効果的なリーダーシップスタイルは異なるというものである。現代でも応用できる部分が大きい。その代表的な理論が「パス・ゴール理論」や「シチュエーショナル・リーダーシップ理論」「エンパワメントリーダーシップ理論」などである。  その後に出てきた問題意識が、リーダーは部下に対して一方通行で対応していいのかというものだ。そうした視点から出発し、1970年代から盛んに研究されたのが、フォロワーとの関係に注目した交換・交流理論である。フォロワーからの信頼の獲得を重視する信頼性蓄積理論などがそれに含まれる。

昨今注目されているリーダーシップ理論

 1980年代以降、リーダーシップ研究はさらに細分化されていった。ここでは時代の要請として登場した3つの理論を紹介する。  経営環境が大きく変わる時代の中で注目を浴びたのがJ・コッターが提唱した「変革のリーダーシップ」である。これは条件適合理論の一流派ともいえる。この理論では、変革を主導すべく、以下の4つの行動を特に重視する。

①変革ビジョン設計:魅力ある明快なビジョンを設計する
②変革共有コミュニケーション:変革ビジョンを共有するコミュニケーションを実行する
③コーチング:変革ビジョン実現のための技術的支援を行う
④動機づけ:変革ビジョン実現のための心理的支援を行う

 同じく経営環境の激しい変化に対応すべく提唱されたのが、ロバート・K・グリーンリーフが提唱した、エンパワメントを重視する「サーバント・リーダーシップ」だ。これは現代でもおおいに注目されている。リーダーシップというとリーダーが先頭に立って引っ張るイメージがあるが、変化が速い時代においては、1人のリーダーがすべてを把握し、意思決定をし、メンバーに指示を与えるプロセスを踏んでいては間に合わない。後ろから人々を後押しするリーダーこそが、現代では良い結果を残せるという考えに基づく。サーバント・リーダーは、以下の10個の特性を持つとされる。すなわち、①傾聴、②共感、③癒やし、④気づき、⑤説得、⑥概念化、⑦先見力、⑧執事役、⑨人々の成長への関与、⑩コミュニティづくり、である。

 3つ目の「オーセンティック・リーダーシップ」は、真正のリーダーシップを意味する。メドトロニック社の元CEOのビル・ジョージが提唱した。その要件は、「高度なインテグリティ(誠実や真摯、高潔などの意)を備え、永続する組織を築くことに献身する」「しっかりとした目的意識を備え、みずからのコアの価値観に忠実」「すべてのステークホルダーのニーズに応える企業を築き上げる気概を備え、かつ社会に奉仕することの重要性を理解している」などである。つまり、現代では人間性に優れたリーダーが適切な行動をとることが、多くの人々に影響を与えるうえで必要ということだ。

 

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