ビーンにとって重要なのは選手の体格ではなく、その選手がよい成績を上げられるかどうかだ。そして体格や心構えよりも、統計こそが優秀な選手を見つけるよい方法だ、というのが彼の信念である。もっともこの場合はスカウトたちのほうが正しかったかもしれない。ブラウンは結局、メジャーの打席に2006年のシーズンのみ11回立っただけで終わった(2本の二塁打を含む3安打)。しかしビーンの警告は、イノベーションに取り組むリーダーたちが正しい問いを発し、適切な数値に注目しているかについて注意を促してくれる。
そのイノベーターが革新的アイデアの種を持っているかどうかを判断する際、私はいつも次の5つの質問をする。
1.既存のソリューションが高額だったり、あるいは使いにくいという理由で、顧客が対処できない重大な問題が存在するだろうか。
2.より簡単に/便利に/低価格で、その問題を解決する破壊的な方法があるだろうか。
3.魅力的な利益と規模を見込めそうなビジネスモデルについて、説得力のある仮説があるだろうか。詳細な財務モデルは必要ない(それはおそらく間違っているから)。だが少なくとも、実現しそうだと思えるストーリー、そして机上の構想を現実のものにする計画が必要である。
4.市場から学んだことに基づいて、方針を軌道修正する「不可欠な資質」がチームに備わっているだろうか。最初に浮かんだアイデアはそれほど正しくない確率が高い、ということを覚えておこう。独善的で、自分たちが正しいことを証明しようとするチームは、イノベーションへの取り組みにおいてマイナスである。
5.早期に利益を上げるという選択肢は可能だろうか。最終的に成功するには、儲かるビジネスモデルが必要だ。利益が上がるタイミングは早ければ早いほどよい。マーケティングや販売組織の増強などにお金をかけて、戦略的に収益を上げないという意思決定はありうるかもしれないが、少なくとも、そのビジネスモデルの核心がきちんと機能することは確実でなければならない。
最近皆さんは、ビーンが口にしたような、イノベーションについての決め台詞を聞いただろうか。
原文:With Innovation, You Don't Get Points for Difficulty August 19, 2010