適切なデータ分析アプローチを
選択せよ
異なるビジネス局面では、異なるデータ分析が必要となる。どのような状況において、どの種のデータ分析が適しているのか、それが何を与えてくれるのか、そのためにはどのような前提が必要なのか、経営者は理解しておかなければならない。
データ分析の3つの局面を理解する
あなたの会社に、様々なデータがあったとしよう。あなたは経営者として、このデータを分析して何を得たいのだろうか? 一口にデータ分析と言っても、いくつかの局面がある。まずはそれらを整理して理解することが必要である。シンシナティ大学のジェームス・エバンスは、これらの局面をDescriptive(説明的)、Predictive(予測的)、Prescriptive(指示的)の3つに分類している[1]。この分類に沿って、データ分析が何を経営にもたらすのかを見ていこう。
1. 説明的データ分析(Descriptive)
データ分析が教えてくれることの第一は、「何が起きたか」という事実に関するものである。あなたの会社で、ある時中南米市場向けの在庫が急速に不足するようになった。経済の発展によって市場が拡大しているのだろうか。自社の生産や流通に問題があるのだろうか。それとも、何か特別な理由があって末端の小売店が自分の在庫を確保するために注文を一時的に増やしているのだろうか。何が起きたかを知るには、様々なデータを眺める必要がある。社内の生産・在庫・売上などのデータに加えて、中南米の経済状況、政治状況、流行している商品、人々の消費動向など、問題の在庫状況に影響を与える可能性のある要因はいくらでもある。このような様々なデータ・ソースを結びつけて、何らかの説明をつけなければならない。
データ・マイニングはDescriptiveなデータ分析のための強力なツールである。データ・マイニングは、データから何か「面白い」兆候を見つけてくれる。有名なのはビールとオムツの例である。スーパーマーケットのPOS端末データに基づいて、何と何が同時に売れる可能性が高いかを調べると、もちろん、パンとミルク、パスタとパスタソースなどが同時に売れるのは、すぐにわかる。だが、データ・マイニングを用いると、ビールとオムツが同時に売れる傾向にあることもわかる。子供のいる若い男性がスーパーマーケットに来るときに、それらを同時に買うことが多いのだ。
- 最終回 データ分析型企業への変革は まずトップから (2013.02.05)
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- 第4回 経営者はデータ活用に 明確なビジョンを持つこと (2013.01.22)