もちろん、すべての失敗が学習の役に立つわけではない。ここで、「知的な失敗」という概念が重要となる。シトキンによれば、知的な失敗の条件は以下の通りである。
●取り組みが綿密に計画されているため、間違いが生じたときに原因がわかること
●完全に予測不能であり、事前に想定できなかった失敗であること
●失敗の規模が小さく、結果的に大惨事にならないこと
●失敗に対して迅速な対応が可能で、結果が生じてから検証するまでにあまり時間がかからないこと
●その失敗から、事業の他の部門にも共通する教訓を学べること
さらに私は2つの条件を追加したいと思う。
●取り組みの前提が明示されていること
●期待される結果と実際の結果が一致するとは限らないため、特定のチェックポイントをあらかじめ設定しておき、検証できるようにしておくこと
もしあなたの組織が、不確実な意思決定を実験と位置づけて知的な失敗の概念を取り入れれば、失敗や期待はずれな結果を隠蔽するよりも、はるかに多くのことを(しかも格段に素早く)学ぶことができる。
そこで皆さんには、次のことを自問してみてほしい。不確実な条件下での学習に費やした投資から、確実にリターンを得ているか。知的な失敗から何かを得るための仕組みは用意されているか。もしそうでない場合、自分たちがみずから知識を放棄していることで恩恵を受けているのは誰なのか。
HBR.ORG原文:Are You Squandering Your Intelligent Failures? March 26, 2010