サステナビリティ活動の本質は、終わりなき改善である。それを高邁な理想と捉えるよりも、小さなことの積み重ねと捉えるほうが現実的ではないだろうか。どの企業でも今すぐに、無料でできる「グリーン化」の取り組みを紹介する。


コーチへの質問
「この不況期に、環境や持続可能性に配慮したビジネスを実践するにはどうすればいいのでしょうか?」

ゴールドスミス
 いい質問ですね。予算は厳しく、顧客の倹約志向も強くなっています。数年前まではグリーン化に積極的な企業が多く見られましたが、不景気が続くとそれは途絶えるのでしょうか。不況期におけるグリーン化の取り組みについて、『責任革命―あなたの仕事が世界を変える』(邦訳2010年、エヌティティ出版)の著者であるティム・サンダースに相談してみました。彼のアドバイスを紹介しましょう。

ティム・サンダース
 今後10年間で、あなたの会社はよりいっそうグリーン化を推進していく必要に迫られるでしょう。そうしなければ、ブランド力は弱まり、CO2排出規制が利益を圧迫するようになるはずです。「でもそれはずっと先の話だから、景気が回復して好機が来るまでは、取り組みを何年か休もう」――こう思っているあなたへ、ニュース速報です。グリーン化は無料でできることが明らかとなりました!

 グリーン化の取り組みはこれまで、新たな技術や高額な原料・サービスへの投資が必要とされる、お金のかかるものでした。今日では、グリーン化のために余分に資金を投じるのは簡単ではないでしょう。しかし幸いなことに、企業はグリーン化とコスト削減を同時に実現できるのです。その5つの方法を紹介しましょう。

1. 廃棄物を削減する

 カーペット製造の最大手であるインターフェイスの創業者レイ・アンダーソンは、環境配慮への全社的な取り組みとして廃棄物の削減を掲げ、10年間で3億ドル以上のコスト削減に成功しました。あなたにも可能なはずです。顧客に付加価値をもたらさないものは、切り捨てましょう。利益を追求するのと同じ視線で無駄なものを探し、削減してください。

2. 廃棄・交換よりも、再利用・修繕を優先する

 新しいノートパソコンを1台購入するだけで、大量のCO2排出を伴います。現在使用中のパソコンが仕事上不便になるまでは、購入を控えましょう。オフィスの椅子を新調する代わりに、修理や張り替えで済ませるのもいいでしょう。冷水器の代わりに浄水器を使うのも有効です。

3. モノの代わりにビット(デジタルデータ)を使う

 顧客やサプライチェーンとのやり取りを細かくチェックしてみてください。どれほどの紙やプラスチック、石油、電力が使われているでしょうか。郵送ではなく、ファイルを送信しましょう。冊子やDVDなどの代わりに、インターネットで情報を提供すればいいのです。

4. コスト削減にチームで取り組む

 数名で「エコチーム」を編成し、環境負荷を生んでいる固定費を計算しましょう。電気代、旅費・交通費、印刷費、輸送費などです。そして環境コストを減らすプログラムを立ち上げ、全従業員の参加を促します。90日後、節約できた金額を計算し、その半分を従業員の次の給与に加算するかたちで分配します。もし給与への反映が難しければ、優れたアイデアや活動実績でプログラムに最も貢献した社員に、特別賞を提供してもよいでしょう。

5. 実験し、拡大する

 あなたの所属部門が業務に支障をきたすことなく旅費を25%削減する方法を見つけたなら、そのやり方を他の部門と共有しましょう。あなたのチームが印刷費や輸送費を削減する方法を見つけたら、それを社内の他の人たちと共有しましょう。改革に成功した部門が4~5つに達したら、成功事例として経営陣に報告してください。

ゴールドスミス
 ありがとうございました。詳細を知りたい方は、www.SavingTheWorld.netをご覧ください。


HBR.ORG原文:Advice for Green-Minded People During Red-Ink Times January 31, 2009