やり方は簡単だ。
1. 数分間独りきりになって集中できる、静かな場所を見つける。たとえば、オフィスのドアを閉めて電話を無音にする。
2. ゆったりと座り、力まずに背すじを伸ばす。
3. 呼吸に意識を集中させる。吸う感覚、吐く感覚をしっかり意識してから、次の呼吸を始める。
4. 呼吸がうまくできているかを気にしない。呼吸法を変えようとしないこと。
5. 意識に侵入し集中を阻むもの――思考や音など――をやり過ごし、呼吸に集中する。
従業員たちは1日平均30分、8週間にわたってマインドフルネスを実践した。すると、当初はストレスを司る右側に偏っていた脳の活動が、再起力のある左側でより活発となった。さらに、自分の仕事のやりがいが何であったかを思い出したという従業員もいた。働き始めた頃に活力の源泉となっていたものを、取り戻すことができたというのだ。
最大の効果を上げるためには、これをメンタル・エクササイズとして習慣化し、毎日20~30分をかけるとよいだろう。ガイド付きの指導を受けることができれば非常に効果的だが、重要なのは日々の習慣としてエクササイズの時間を確保することだ(長距離運転の時間を利用するエクササイズ法も存在する)。
マインドフルネスは、頑固な企業幹部たちの間でも着実に信用を獲得しつつある。ビジネスパーソンを対象にマインドフルネスの指導を行うところもある。高級リゾートのミラバルや、ウースターにあるマサチューセッツ大学メディカル・スクールのマインドフル・リーダーシップ・プログラムなどだ。グーグル・ユニバーシティも数年前から、従業員を対象に講座を開講している。
マインドフルネスを習得し、脳の再起回路を鍛えるといいことがありそうだ。優秀な企業幹部は、ストレスから受ける影響を自覚していない場合がある。私の同僚のリチャード・ボヤツィスとアニー・マッキーは、リーダーがストレスを自己診断する簡易的な方法として、次の問いを自問するよう勧めている――「漠然とした不安や苛立ちを感じているか。人生は素晴らしい(“まあまあ”より良い)と思えなくなっているか」。マインドフルネスの手法を少し取り入れるだけで、安らぎを得ることができるかもしれない。