大企業は、イノベーションにつきまとう不確実性を前に、立ち往生しがちであるという。データが完全に揃うのを待っていては、遅きに失する。アンソニーはこの不確実性を「霧」に例え、新興企業がなぜ霧にとらわれず進めるのかを説明する。
イノベーションには、霧がかかっている。それは、あるイノベーションのアイデアに関して重要な決定を下す際に、必要なデータがはっきり見えていないと気づく瞬間に生じる。そして残念ながら、データがはっきりしているケースはまずない。
霧の中で迷ってしまった大企業が決まって出す答えは、検証をひたすら続ける、というものだ。大企業では、失敗するリスクは、リスクを取らないことよりも波紋を広げるからである。しかし、覚えておいてほしい。データが完全に明らかになった時には、そのデータに基づいて行動を取るには遅すぎるのだ。また、完全に明らかになるまで待つあいだに、破壊的な新興企業やハングリーな競合にチャンスを与えてしまう。
しかし、霧の中で立ち往生しない企業もある。ベンチャーキャピタルの支援を受けた新興企業だ。大企業のような強大な分析力を持たないのに、新興企業はどう霧をくぐり抜けているのだろうか。次の3つの要素が揃った場合である。