広告・ブランド戦略業務で25年以上の経験を積んだ経営者であり、マーケッターでもあるベッキー・セイガー氏と博報堂川名周氏との対談後半です。マーケティングのゴールとは何か、そしてCMOが成果を上げるためにはどのようなことが必要なのか、語っていただきます。
広告会社も戦略を持たなければいけない
川名:私はCMO2.0に対応できるように、広告会社も戦略を読めることが大切だと思います。企業と広告会社とのパートナー湿布が高まり、CMO2.0に相対する人が広告会社側にいれば、より良いものができるのではないでしょうか。

セイガー:そのとおりですね。現状では、企業の課題や戦略を広告会社が理解できていないケースが多いと思います。広告会社にとっても、今は難しい時代になってきています。クライアントのビジネスの課題は何かをきちんと理解しないと、相手が求めるアイデアを提供できませんし、企業からの印象も悪くなってしまいます。
私はこれまで常に広告会社に対しても、真の戦略パートナーであるように心がけてきました。我々の事業を理解してもらえるように、何が問題だと感じているのかを説明し、提案に組み込んでもらうのです。優れた広告会社は、企業を理解したいという好奇心を持ち、消費者インサイトも理解した上でクリエイティブを提供できます。でも、広告会社はアメリカでも細分化が進んでいて、企業に起こっていることの一角としかつながれないことも出てきています。
川名:日本は大手広告会社の規模が大きく、社内に戦略部門やブランドデザイン、コンサルタントといったあらゆる機能を持っています。今のお話をうかがっていると、社内にすべてが集まっているという形態にチャンスがあるかもしれませんね。
セイガー:アメリカの広告会社も日本に参入したがっていますが、なかなか大変です。みなさんのモデルのほうが、現在の状況にあっているのかもしれません。ただ、クライアントよりも先に行く必要がありますね。企業がどの方向に向かっているのか想定して行わなければなりません。