日々生じる予想外の出来事に振り回され、マネジャーとしての役割を果たせていない――。こうした問題を解決するのは、時間管理術ではない。このうえなくシンプルだが効果的な「P-D-R」(Prep-Do-Review)によって、危機や問題を好機に変えることができる。
マネジャーたちはいつも、「時間管理が悩みの種」と言う。予想外の出来事や危機、邪魔が入り、無視するわけにもいかず、時間を奪われることが多々あるようだ。上司としての明確な計画を持って仕事に向かうが、1日の終わりには、それらを1つも達成できていないことに気づく。
これにどう対処すべきか、誰もが知りたがっている。「大混乱の真っただ中で、やるべきことを成すためにはどうすればいいのか。上司としての仕事――目標達成への働きかけ、人材育成、チーム・ビルディング、ネットワークの構築と維持など――を、いつ行えばいいのだろう?」そしてあなたも同様に、時間に関する問題を抱えているのではないだろうか。
しかしいずれの答えもあなたの予想や期待に沿うものではないだろう。重要でない案件を後回しにする、権限をよりうまく委譲する、時間を徹底的に節約する――。どれも優れた時間管理法だが、これらをすべて実践したとしても、問題は存在し続けるのだ。
マネジメントとは本来、断片的で反応的な(起こった出来事に対応する)ものである。問題なのはあなたでも、時間管理能力の欠如でもない。マネジメントの行為自体に問題が内包されている。重要な事業部門を率いる経営幹部であっても、日々の出来事に追いつくのは大変なのだ。
優れたマネジャーは、適切な解決策を見出している。時間管理の改善のみを目標とすることはない。彼らは、自分の仕事が2種類の異なる要素――日々生じる想定外の問題への対処と、上司としての役割――で構成されているとは考えない。日常業務と管理業務を別々にやるのではなく、予想外に生じる出来事、危機、責務などが生む混乱を、管理業務の遂行に利用するのだ。我々はその手法を「P-D-R」(Prep-Do-Review :準備・実行・見直し)と呼んでいる。