次々と舞い込む依頼を断り切れず、自分の時間を犠牲にして他者に手を貸してしまう――こんな経験は、多かれ少なかれ誰もがあるはずだ。上手に「ノー」と言う方法と心構えを実践し、自分の人生を取り戻そう。
アイリーンは、同僚としては申し分ない人物だった。大手コンサルティング会社のシニア・マネジャーで、スタッフに仕事量の負荷がかかれば協力を申し出るし、誰かが病気になれば穴埋めをする。必要があれば超過勤務も厭わない。しかも頻繁に。
彼女はリーダーとして、役員会のメンバーも務め、チャリティー・オークションでの資金集めもする。子どもがいるため、夕食までには帰宅するよう努めているが、子どもたちが寝たあとに夜遅くまで仕事をすることも多い。ただしそれができるのは、仕事上の夕食会がない日に限られる。
しかし、率直な気持ちを聞いてみれば、彼女は満足しているどころか、疲れ切っているとわかるだろう。
アイリーンは、「ノー」と言えない。その結果、限られた時間と枯渇しそうなエネルギーを、他人のために使っている。自分自身の優先事項はおざなりだ。私自身も同じような経験がある。だから、はっきりノーと主張するための方法を、時間をかけていくつも編み出してきた。
アイリーンの生活には、本当に「イエス」と言いたいことに集中できるだけの余地が必要だ。上手にノーと言うために、彼女に提案した「9つの習慣」を紹介したい。